Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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善い心 悪い心
「わたしの随想集」「私の人生随想」「きのう きょう」(池田大作全集第19…
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善と悪とは、決して二元的なものではない。人間は善も悪も包含した統一的存在ではなかろうか。人間は、この真実の姿を、曇りなき英知の鏡で見極めなければならない。──そうすれば、善人であったものが、一転して悪人に変わっていったり、善を求めるようであってその実、人々に偽善を強要するようなことはなくなるであろう。
私は、現代において大きな悪の根源とみられているエゴについても、同様であると思う。エゴという、自我の実在自体が悪なのではなく、それは善にも悪にもなるのである。
もし、エゴというものが悪であるというのであれば、さきに述べた「肉」と同じように、生きているかぎり人間は悪の当体ということになり、永久に解決の法はなくなってしまう。
要は、善悪いずれへもあらわれうるエゴを、どのようにして生かし導くかの問題である。そのためには、善悪に通ずるエゴそのものを如実に把握する以外にない。人間が、己自身の生命の姿を鋭く知悉することが前提である。その意味で、現代文明の行き詰まりから、人間の関心が人間存在の奥深くにあるエゴなるものに集まりつつあることは、大きな前進と私はみたい。
このエゴというものを凝視していくところに、過去の傲慢を排し、人間の英知と情熱と意志の力を、善なる方向へ発現していく道が開けてくるはずだ。──揺れ動く七二年の課題がそこにあると、私は感じている。
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