Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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分析と綜合  

「わたしの随想集」「私の人生随想」「きのう きょう」(池田大作全集第19…

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3  地水火風空は、現代の化学のような唯物的な発想から考えられたのではなく、人間や宇宙を調和体とみたところに立てられた考え方であろう。病気は人間におけるこれらの要素の不調和から起こり、死とは、それらが宇宙に還っていくことだと考えられた。
 人間の体の中には、大げさにいえば宇宙のあらゆる運行のリズムが刻印されているという。昼は心臓の鼓動が速まり血圧も上がる。脳細胞の動きも活発になる。夜はその逆で、血圧も低く鼓動もゆるやかになる。宇宙のリズムとの驚くべき一致である。人体の地水火風空は、大宇宙の地水火風空に呼応して、絶妙の運動をつづけているのであろうか。私の恩師はよく、十二時には寝るようにと言われたが、正鵠を射た知恵であった。 生物の体内にも地球や太陽、月などの宇宙の動きに対応したリズムがあり、時計がある──この原理をバイオリズムというそうだが、人間を一つの調和体とし、その調和のリズムを宇宙自然との関連でとらえようとする研究分野といえよう。
 古代西洋人は星座のなかに神話を見いだした。それはたんに神秘視したというよりも、神々とのかかわりを通じて、人間世界に投影された力をとらえようとしたのかもしれない。中国においては、星の運行は直接、人間の運命と結びつけられさえもした。
 宇宙自然は、複雑であり、巨大でありながら、一個の美しい生命体のごとく脈動している。そこから逃れられない人間もまた、小さな規模の宇宙のような存在なのであろう。その本源を洞察し、どのように人間生命を、そして人間社会を、完璧な調和体にしていくか――英知の眼は、この求心ともいうべき原点に向けられねばなるまい。

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