Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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五眼  

「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集第22巻)

前後
4  仏法では「五眼」ということを説いている。それは物事の真偽を見極めるための五つの眼をいう。
 第一に肉眼、さえぎるものがあると見えなくなってしまう、肉体に備わった目。第二に天眼、昼夜遠近を問わず見ることができるという天人の目。第三に慧眼、深い知識を得ることによって物事を判断する目。第四に法眼、民衆救済のために仏法の法則にのっとって物事を判断する菩薩の智慧の目。第五に仏眼、過去・現在・未来にわたって事物、事象を見通す仏の目。以上の五つである。
 仏眼については、凡愚のわれわれのとうてい推察しうるところではないが、同じ物事を見るにも、このようにより深くより広い目があることを教えているといえようか。
 第四の法眼とは知識の目ではない。智慧の目である。しかも、いかにして他を利し、人びとを救うかという慈愛の精神に裏打ちされた智慧の目である。
 もちろん幅広い知識も大切だが、知識の目だけでは、どうしても型にはまった見方になりやすい。それにくらべて智慧の目は、柔軟でこだわりがない。物事の善悪、理非を、知識や情報に振り回されることなく、率直に見る目である。その視線は、美しいものを醜く、偉大なものを卑小にとらえがちな人間の通弊とは無縁である。
 私は、どんなに学歴がなくても、人間への深い愛情と智慧の目をおのずと身につけた庶民の実像を、じつに数多く知っている。
 真実を見誤らないためにも、智慧の目を磨きに磨く日々でありたいものだ。

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