Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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菩提の慧火  

「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集第22巻)

前後
4  前章に引きつづき、恐縮だが恩師の思い出を記させていただく。
 三十年近く前になろうか、恩師を囲むある青年たちの会合で、私は一つの質問をした。
 ──源平の戦いを読んでいて感ずるのですが、斬ったり、射ったりし合っていて、こわくないのでしょうか。
 度の強い眼鏡の奥で深くうなずいた恩師の応えが、私には忘れられない。
 ──本当の人生を知っているなら、こわいと感ずるのが当たり前です。
 こわいというのが人間性、こわくないというのは非人間性である、というのである。殺し殺される戦争はよくないと思うのが当然で、そのために敢然と戦いきることが真の勇気であり、人間の本当の強さである。恩師の簡勁な言の葉に、私は、大乗的な生き方の真髄を目のあたりにする思いがしたのであった。
 女性は平和主義者であるというのが、私の変わらざる信念である。
 尊厳なる生命を守り育む、そこに身を挺して生き抜く女性の姿ほど強く、かつ尊く、また美しいものはない。婦人たちよ、家庭や地域にあってはもとより、広く社会全体の動向にまで、敏感にアンテナを働かすことのできる“平和の戦士”であってほしい──それが、私の切なる念願である。

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