Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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水に浮かぶ影  

「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集第22巻)

前後
3  私の恩師は、生前よく「みずからの命に生きるべきだ」と強調してやまなかった。ああ見られている自分、こう見られている自分、それに一喜一憂し、焦ったり、劣等感で卑屈になったり、束の間の有頂天にひたってみたり……。そこには、自分でなければ生き栄えていくことのできない真実の生の実感はない。それでは水面に動くあの男の影と、少しもちがわないからである。
 まず、腰をすえ、深く息を吸い、みずからの足元を見つめてみたいものだ。そして、他人の思惑など気にせずに、自分の道を一歩一歩、着実に歩むことこそ、賢明な生き方ではなかろうか。 みずからの命に生きる──この平凡にして非凡な人生の真実に思いをめぐらすとき、私の網膜には、厳しくも温かい、わが人生にとっての恩師の慈顔が、さわやかに焼きついて離れないのである。

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