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日蓮大聖人・池田大作

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大衆の中で展開された仏教運動  

講義「諸法実相抄」「生死一大事血脈抄」(池田大作全集第24巻)

前後
5  信行学の要諦を教示
 さて「諸法実相抄」は、日蓮大聖人みずから、この御抄の追伸のととろに「ことに此の文には大事の事どもしるしまいらせ候ぞ」、また「此の文あひかまへて秘し給へ、日蓮が己証の法門等かきつけて候ぞ」と明記されておりますように、比較的短い御述作ではありますが、仏法の肝要がことごとく集約してあらわされております。
 執筆せられた文永十年五月といえば、法本尊開顕の書であり、受持即観心の、末法仏道修行の要諦を示された「観心本尊抄」を著された翌月であります。本尊抄が、文永十年の四月二十五日、本抄が翌五月十七日と記されております。
 したがって内容も、法華経迹門、在世衆生得脱のカギとされた、方便品の「諸法実相、十如是」の文から説き起こされて、法華経哲理の真髄を示し、その当体が妙法蓮華経、即、御本尊であることを教えられております。これは、法本尊の意義を明かされたと考えられます。
6  ついで、この法華経の極理を明らかにし、かつ弘めるべき人こそ、地涌の菩薩の上首上行であることを示され、それを、まさに日蓮大聖人御自身が実践してきたと述べられるのであります。すなわち、一往、外用の辺から言えば、法華経弘通の上行菩薩の再誕であり、再往、内証の辺から言えば、末法救済の大法を建立する御本仏であり、久遠元初の仏であることを、暗示されているわけであります。これは、人本尊を明かされたと考えてよい。
 このように、人法両面から、末法一切衆生の尊敬すべき根本を明かされたことは、人本尊開顕の書たる「開目抄」、法本尊開顕の書たる「観心本尊抄」の結論が、ともに、この一書の中に包含されていると、私には拝せられるのであります。
 しかも、後半においては、未来広宣流布の間違いないことを予言され、末法万年にわたる仏道修行の要諦として、信行学の在り方を教示されて結ばれている。すなわち末法の仏法の正体が、その甚深の法体、修行のすべてを網羅して、しかも簡潔にあらわされているのが本抄なのであります。
 ゆえに、日蓮大聖人の原点に帰ることを根本精神とする我が創価学会は、数ある御書の中でも、特にこの「諸法実相抄」を根幹として、自己の信心の研鑽と、あらゆる指導、活動に取り組んできたのであります。
 初代会長牧口常三郎先生も、常に本抄をとおして指導されたとうかがっております。第二代会長戸田城聖先生が、法華経は別にして、まず、私達数人に講義された御書は「諸法実相抄」でありました。私もまた、この講義を受講した一人であります。
 更に、高等部に対し、また本部職員の代表に対し、私はいくたびか、この「諸法実相抄」を講義してきましたが、拝するたびに、法門の深さに驚嘆し、大聖人の烈々たる気迫に胸をうたれる思いがいたします。
 創価学会創立四十六周年を記念して、再び私は、今まで何回となく講義したものに、新時代に相応して加筆添削をして掲載させていただくことにいたしました。
 以上、前置きとして申し上げておきます。

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