Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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「科学と人間」の新しき地平線 サートン『科学史と新ヒューマニズム』

「若き日の読書」「続・若き日の読書」(池田大作全集第23巻)

前後
7  私が『科学と宗教』を上梓したのは昭和四十年(一九六五年)のことである。
 同著では、天文・物理・生物・医学など各分野の知見を検証し、科学をリードしてゆく仏法哲理の卓越性を論じた。
 もとより、それは一つの手がかりとして編んだものである。十七世紀のデカルト、パスカルから近年のベルクソン、ニーダムらにいたる幾多の精神的営為が物語るように、「科学と宗教」とは、人類が永遠に問い続けるべきテーマにほかならない。
 恩師戸田先生は、さまざまな宗教を学んだ経験をとおし、非科学的な教義では現代人はとうてい納得しえないと述べ、「科学と相反せず、しかも科学的にして、実験証明のともなう、論理的な宗教こそ最高のものだ」と語っていた。日蓮大聖人の仏法こそ、真に科学をリードし、人間のための科学の曙光を輝かせていく地平となるという確信であった。
 その同じ信念から、私も科学について機会あるごとに発言を重ねてきた。
 アメリカのポーリング博士、ロシアのログノフ博士(モスクワ大学前総長)をはじめ、世界の多くの科学者とも対話を交わしている。ログノフ博士とは、現在、二番目の対談集『科学と宗教』の編纂を進めている最中である。世界の知性と知性、良心と良心を結び、科学の進歩と人類の幸福に貢献できれば──。これが私の真情である。
 恩師はよく「科学が進歩すればするほど、仏法の偉大さが証明されるであろう」と語っておられた。恩師の心とともに、私の生涯はある。

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