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日蓮大聖人・池田大作

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自由なる精神の輝き バイロン『バイロン詩集』

「若き日の読書」「続・若き日の読書」(池田大作全集第23巻)

前後
14  「真の自由とは心をすみかとする」と詩人は言う。たとえ身は牢獄にあって鎖に繋がれていようと、心を束縛されなければ、自由を勝ちとった人であると。
 バイロンは「神に対する反逆」を絶えず作品に描いている。いうまでもなく、当時の教会からは「悪魔主義」として厳しく攻撃を受ける。このため彼の遺骸はウエストミンスターへの埋葬を拒否されている。死後もなお執揃な宗教の権威の圧迫は続いた。
 バイロンの最大の理解者であったゲーテは、作品『カイン』を批評しながら、エッカーマンにこう語る。「バイロンのような自由な精神は、教会のドグマの不十分さに、どんなに悩んだか、このような作品によって、おしつけられた教義から、どんなに自由になろうとつとめたか」
 バイロンは、あるとき望遠鏡で星々を眺めながら、こう語ったという。
 「神に仕える聖職者は、みな天文学に関する完全な知識を持つべきだ。天文学ほど人の心をより寛く、より大きく、より豊かに啓発してくれる科学はないよ。天文学は人間の心を、その狭量偏見から解放してくれるだろうからね」
 自由なる精神の輝きを消し去ろうとする勢力は、いつの時代にもさまざまに暗躍する。バイロンの詩にあふれる精神の自由への高らかな宣言は「強くあれ、一歩もしりぞくな」というエールを送ってくれているようだ。

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