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日蓮大聖人・池田大作

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現代を超越する精神 高山林次郎『樗牛全集』

「若き日の読書」「続・若き日の読書」(池田大作全集第23巻)

前後
7  私もまた樗牛と同じく、二十代に胸を病んで、とても三十まではもつまいと言われた身体。そのことで、いつも戸田先生には、ご心配をかけどおしであった。
 「おまえも長生きできない身体だな。できることなら、私の生命を削って、お前にあげたい──」
 そう先生に言われたとき、思わず胸の焼きつくような想いが、こみ上げてきたものである。
 また、先生が亡くなられる半年まえのことであった。──二十歳のときから先生の側近くに働いて十年間、どうにか私の身体も持ちこたえそうな気配もあった。
 だが、そのとき先生は大患を病み、戦時中の二年間の獄中生活と戦後の激闘のために、いたく憔悴せられていた。時折、遺言めいた言葉を、ふと洩らされた後に、厳しい表情でおっしゃられたのを今でも忘れない。
 「君は妙法の高山樗牛になれ! 彼は三十一歳で死んだが、君は生きぬけ。絶対に、わたしの後継として生きぬけ!」
 そのときから私は、生きぬく決意をさらに強靭なものとした。そして、恩師の遺訓をすべて実現するための闘いを、人知れず胸に秘めて開始したのである。

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