Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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試練を越えてこそ……  

1972.2.6 「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集第…

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2  午後一時過ぎより、聖教のM記者、G記者と同乗して周辺を視察。
 この数年間で、総本山を荘厳するために幾百回となく、廻りまわったことか。七百年目の開幕の夜明けにふさわしく、歳々、晴ればれと完備されていく様相には、だれもが目を見はることであろう。私の責務も一つひとつ、また一日一日、完遂していることに、歓喜の温りが生命の胸の内を包んでいく。
 白雪の化粧をした富士の山が、優しく悠然と、私たちに語りかけているようだ。三時過ぎには、正本堂にて、幾千の友とともに御開扉。つづいて代表者と記念撮影。この顔も、あの顔も、安穏の楽しみの姿。私にとって、これほど嬉しいことはない。未来の広布を担い託する記者らとさまざまな話をしながら下山。途中、疲れたのか車中でよく眠る。
 ある年、ある日。戸田城聖と山本伸一は、総本山より二人して下山したことがあった。すでに戸田先生の足は弱りはじめており、やっとタクシーをつかまえて、幾時間もかかっての帰宅である。
 その車中での、先生の太い息をはきながらの一言が、伸一の脳裏より離れない。
 「伸一、学会はどこにも味方がない。しかし、広宣流布をしなければ日蓮大聖人は歎かれる。広布の道とは、嶮しい山を毎日歩むようなものだ。未聞の偉業だもの。いや増して、想像もつかぬ留難も多くなるだろう。幾度となく、その難を乗り越えなければ広布はできないのだ。悲しいとき、悔しいときもかならずあるだろう。しかし、この試練をへなければ本格派の革命児にはなれないし、この信念の闘争がなければ、広布はできないのだよ。頑張れるか──」と。

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