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日蓮大聖人・池田大作

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創刊20年の「聖教新聞」  

1971.4.13 「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集…

前後
1  きたる四月二十日は、昭和二十六年(一九五一年)に「聖教新聞」創刊号を出してより、満二十年を迎えることになる。顧みるとまことに早いものである。この日は、社会への一つの宣言の日であった。
 この新聞の発刊にあたっては、かねてから、広布の言論戦の構想をいだいていた、戸田先生の決意があった。しかし、機熟さず、その構想の披瀝には時を待っていたようである。先生が会長に就任したのが二十六年の五月三日であるから、創刊の第一号は、その十三日ほど前の計算になる。
 その五カ月前の、十二月のある夕刻のことであった。いまだ戸田先生の事業は、浮沈にかかわるような深刻な攻防戦を余儀なくされていた。伸一青年も先生のもとにあって、日々、一体となって戦っていたときである。そんな師走のある日、二人は事業に関する訪問を終えて、新橋駅近くの小さな食堂に入った。「聖教新聞」に関する具体的な話は、ここで初めてなされたのである。
 そのとき、先生は、
 「新聞をつくろう。機関紙をつくろうよ。これからは、言論の時代だ。広宣流布の拡大する戦線には、新聞が第一の武器である。断じて言論戦で切り拓こう。俺が社長になる。伸一は副社長になって出発するのだ」
 新聞発行の現実的な第一歩は、食堂の雑踏のなかで始まったのである。
 その後、社に帰り、ただちにスタッフの人選に入った。新聞名の検討も始められた。やつぎばやに、その方向は決定されていった。その最初の編集長も、事務所も決まった。市ケ谷駅前の、戦争で焼け残った小さなビル、すなわち市ケ谷ビルの二階の、五坪にも満たないささやかな一室であった。
 戸田先生も真剣に書いた。幹部も書いた。伸一たちも真剣にそれを支えた。だれも彼もがこれを守り、これを育てぬいた。旬刊二頁建て、五千部が、いまでは日刊十二頁建て、四百万部を超える大新聞となっている。
2  たまたま、ある事業家が、先生に向かって「まったくの素人で、なにができるか」と、笑いながら言ったものである。
 先生は臆することなく「初めはだれでも素人である。しかし、五年も経てばだれでも玄人になる」と答えられていた。
 その言のごとく、いまやあまたの人びとが、「聖教新聞」を見て、多くの称賛の言辞を惜しまない事実は、雄弁にそれを物語っているであろう。
 窓をあけると、月光が静かに冴え輝いていた。先日植えた、連翹の濃黄色の筒状の花が、小さな庭で、柔らかい枝に支えられて、眠ろうとしている。

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