Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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純粋な信仰の強さ  

1971.3.20 「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集…

前後
3  昭和二十八年の晩秋のことであった。信濃町の学会本部の第一応接室にて、戸田城聖は、とある初老の人と対面していた。戸田に呼ばれて、若き伸一も側に腰をかけた。戦時中、戸田城聖を取り調べた元司直である。
 彼は、最近入信したという。戸田に馴れ馴れしく、笑いながら、入信の経緯を語っていた。戸田は、淡々とあいづちを打っている。やがて彼は「戸田さん、過去は過去ですよ。なにか私にできることがあればしてあげましょう」──いまだ、傲慢な態度である。
 戸田は、毅然として言いきった。
 「必要ない。時代が変わったからといって、君に頼むものは学会には断じてない。私にへつらっていれば、私がいい気になると思ったら大間違いだ。学会は純粋な信仰で、いっさいを切り開いてゆく」
 伸一は彼を玄関まで、礼儀ぶかく送っていった。
 暖かな春が、今日も、また一歩近づいてきた。可憐な“忘れな草”も“さくら草”も、冬に耐え春を待っていよう。

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