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日蓮大聖人・池田大作

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友への色紙  

1971.2.3 「随筆 人間革命」「私の履歴書」「つれずれ随想」(池田大作全集第…

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1  ここ数年。多くの友から色紙を頼まれる。悪筆の私は、なんとか避けるよう努めてきたが、ついに決意して書き始めた。 その理由は、わが友が少しでも喜び、激励ともなれば嬉しいことである──と、いつか心が変化したからにほかならない。
 “書は人なり”というのなら、気取らず、思いのままに、自己流でもよいと思いながら贈ったものである。その枚数は、相当なものになると思う。差し上げるたびに申し上げる言葉として、「後世に恥を残すものですが」と、付け加えてもらった。
 その文字は多様である。「福智」「慈悲」「清浄」「常楽」「自我」「寿量」「栄光」「大志」「建設」等々。俳句の場合もある。和歌の場合もあった。御書の一節を認めたときもあった。
 このように筆を手にする以前、昭和三十七年(一九六二年)と記憶する。九年前のこと。妙悟空著の『人間革命』の、単行本の再刊のときであったと思う。さりげなく毛筆で「人間革命」と下手な字で書いたことがあったようだ。その紙を、当時の編集長のA君が、再刊本の題字に、独自の裁断(ユニークな発想と思ってのようだ)で使用したというのである。
 時移って、法悟空の連載にあたって、編集長は新しい毛筆の題字、「人間革命」を依頼してきた。筆者は二、三枚書いてみたが、不味いので毛筆の題字をやめ、活字にしてほしい旨を通告した。これで安心。
 しかしである。独創的個性と、信念の強いA編集長は、以前持っていたその毛筆の題字を、そのまま使用することを決断したらしい。それが今日までつづいた、現在の題字であることをご了解願いたい。その題字と対面するたびに汗をかく。いまならもう少しましな字が書けると思いながら。
 ともあれ、執筆にあたって、いままでも多くの方々にご協力をいただく。牧口先生時代の先輩。戸田先生の友人等々。係りをとおし、ご支援を願ったことに対し、厚く御礼を申し上げたい。
2  過日、ある著名な評論家と語った。彼は言う。多量にわたる原稿書きは、最早、万年筆では不向きである。理由は、労力が過重と。鉛筆のほうが能率があがるからと、自身の経験を強く主張。私も、その親切な教示を受けて、一月中旬より実行。たしかに楽でもあり、便利でもある。すぐ消せる。
 その人は原稿用紙も、自分の書きよい用紙を作成すべきだと、教えてくれたこともある。ここに深謝。
 昨日より総本山に参詣。多くの友と語る。最高の喜び。
 晴れわたる天空に、白雪の富士が、堂々と、王者の品格を崩さずに座していた。
  白雪も 王者の鎧 富士の山

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