Nichiren・Ikeda
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歴史と人間を求めて行動する 井上精氏
「私の人物観」(池田大作全集第21巻)
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7 ――私は一人の文学の徒として、いつでも永遠に触れたところで仕事をしていたい気持でおります。そして永遠を信じ、人間を信じ、人間が造る社会を信じ……。
往復書簡でこんなふうに詠嘆されている一節にも、印象深い味わいがあった。
思えば、いつでも永遠に触れたところで仕事をしたい、という井上さんの内なる衝動こそ、その文学者としての魂を導き、引き立ててきた原動力であったのかもしれない。あるいは西域に寄せるひたむきな思慕を解くカギも、私にはここにあると思えた。
萩の花がぼろぼろと散りきってしまうころ、井上さんは、再び西域をさして流れるように旅に出ておられるはずである。幾多の英雄が通り過ぎた河西の回廊を、今はジープを疾駆させて西へ向かっていることであろう。あるいは鳴沙山の彼方に満天の星を仰ぎつつ、文明の過去を跡づけておられるかもしれない。永遠の鼓動にふれるために、あるいは井上さん自身の内に永遠の鼓動を聴くために――。