Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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大好きなや″海賊先生″  

「私の人物観」(池田大作全集第21巻)

前後
5  先生は、戦後は郷里の中学校で教壇に立たれ、校長も務められた。お手紙によれば、五十年四月に退職され、今は社会福祉事務所で、家庭児童相談員をされているはずである。
 多忙に紛れて、まだ一回しかお会いしていないが、時折お便りをいただく。その達筆な文字は、先生が黒板に手早く上手な字を書いていく、その白墨の先に魅せられたように見入っていた、懐かしい教室の光景を思い出させてくれる。あるときの短簡では「大木になればなるほど風当たりも一段と強く、なるものですが、どうぞ風雪に耐えて……」と、また「雑草の如くあれ」と励ましてくださった。いまもって教え子の行く末を温かく見守っておられる先生には、感謝の念を禁じえない。
 最近、目を患って入院されたともうかがったが、どうかいつまでもお元気であっていただきたい。
6  教育の樹液が見事な果実を養いうるとすれば、それは、あの若き日の岡辺先生のような
 真(しんし)撃な人間教師によってこそ可能であろうと私は思う。教育といっても、ただ教育者の人格にあるという、この一言に尽きるといって過言ではあるまい。
 今は六十代も半ばを迎えられたであろうか、懐かしい大好きな″海賊先生″――。先生は、少年時代の二年間という一弾指に、見事に、平凡な子供たちの心に強い鮮を結んでくださった。
 私の心にも、先生とは、一言いしれぬ深い大切なものが強く残されているように思う昨今である。

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