Nichiren・Ikeda
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あるアパートの夫妻
「私の人物観」(池田大作全集第21巻)
前後
4 川沿いの道を、ゆっくりと歩いてくる二人連れが目に入った。私は、すぐに気がついた。
先方も、気がついたようだ。アパートの若夫婦である。秋の夕暮れの道を、三人して暗くなるまで歩いた。
「こんどの日曜日にでも、三人でピクニックに行きましょうよ」「それは、いいなあ。大ちゃん、どこへ行きたい?」
なぜか、私は、断わった。照れくさかったのか、日曜も朝夕の新聞配達があるから、と思ったのかは、よくわからない。まもなく、夫妻は、どこかへ越されていった。少年の日々は、はるかに遠く沈み去ったが、この懐かしい思い出は、いよいよ私の心のなかに生きてくる。