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日蓮大聖人・池田大作

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青春への出発  

「私はこう思う」「私の人生観」「私の提言」(池田大作全集第18巻)

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3  不幸な人にこそ、最も心をくばり、幸せになっていけるよう助け合っていく。人間の理想社会というものは、このような、温かい心を、みんながもったときに、初めて実現されるのだと思います。
 未来の世界が、戦争や、飢えや、貧困、公害などのない、本当に平和で、幸福な社会になれるかどうかは、やがて、その時の世界を、担っていく、今のかわいい、皆さんの心にあるのです。
 空襲に明け暮れた戦争。インフレと、衣食住に苦しんだ戦後。私たちの青少年時代は、たいへんな一日一日でした。そんななかで、今も、忘れられない、美しい思い出は、人々の親切な、思いやりの一つ一つです。雨のように降る焼夷弾で、家が焼けてしまったときに、寝るところを貸してくださった人、お米や、みそを分けてくださった人……そうした人々の、やさしい思いやりは、一生涯、私の胸に、灯火のように、光り輝くことでしょう。
 それ以来、私は、この世で最も美しいものは、人間の温かい心であり、この社会にあって、人間は、互いに愛しあい、守りあい、助けあっていくべきだと信じております。また、この信念を、貫いてきたつもりです。一生涯、貫いていこうと決意もしております。
 最後に、皆さんのなかには、学校の勉強の得意な人も、苦手な人もいることでしょう。初めに言いましたように、私も、決して、勉強は得意のほうではありませんでした。
 今の学校教育では、勉強が得意か、苦手かで、すべてが決まってしまうような傾向がありますが、私は、それは正しいあり方ではないと思います。もちろん、学校では、勉強が、できることがなによりも大事でしょうが、この世界は、それだけで人間の価値が決まるわけでは絶対にありません。世の中には、いろんな職業があるように、いろんな才能をもった人が、それぞれに働き、認められるようになっているのです。
 ですから、今、勉強が苦手だからといって、決して、がっかりする必要はありません。過去の、世界的な人物をみても、かならずしも、学校で成績が優秀であった人ばかりとはかぎりません。イギリスのチャーチルなどは、まったく勉強が苦手だったといわれます。ただ、大切なことは、自分の人間としての成長に真剣に取り組んでいくこと──これだけは、決して忘れてはならないと思います。
 人間らしい心を大事にし、体を鍛え、苦しいことがあっても、くじけないで乗りこえていく、本当の勇気をもつことです。それが、人生で最も大切なことであると思いますし、中学時代は、その人生の基礎をきずく時期だと考えます。

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