Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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家計のやりくり  

「私はこう思う」「私の人生観」「私の提言」(池田大作全集第18巻)

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4  俗に、生活の基礎条件を衣食住とするが、われわれの生活にとって、なんといっても最も欠かせないのは食である。衣は、その次にくるものだ。そうしてみれば、これは衣食住でなく食衣住とすべきだろうと思われるが、いかがなものであろうか。ともあれ、食衣住は人間として生きていくための土台であって、家計のやりくりで、まず確保しなければならない御三家ともいえる。
 最近の平均的な各家庭の支出傾向として、レジャー費や交際費のために食衣住が犠牲にされている点が指摘されている。特に住にいたっては、地価の高騰のため一般庶民がマイホームをもつことは、それこそ高嶺の花で、最初から諦めてしまっている面もある。衣のほうは科学技術の進歩によって安い化繊が大量に出回り、庶民の欲求に、ほとんど十分なまでに応えてくれるようになった。しかし、食と住の急速な値上がりは、まさに政治の責任と言わざるをえない。
 このさい、われわれは国民の食衣住を、十分に満たす社会的条件をつくることが政治の絶対的使命であることを再確認しておく必要があろう。それはそれとして、家計の運営にあたっては、食衣住の御三家を確保したうえに、初めて種々の工夫が凝らされるわけである。
 おしゃれやレジャーや交際費のために食費を節約するような家計のやりくりは上手、下手以前の問題である。つまり、食衣住を十分に確保して家族が困らないようにすることこそ家計を預かる人の基礎的な任務である。それができないとすれば、もはや家計を預かる資格はないといっても過言ではあるまい。
 生意気な言い方になってしまったが、わが国の政治のあり方と庶民の生活に対する考え方に一抹の不安を感じている者として一言したしだいである。

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