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日蓮大聖人・池田大作

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結婚と愛  

「私はこう思う」「私の人生観」「私の提言」(池田大作全集第18巻)

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4  結婚には、たしかにチャンスというものがあるようです。具体的にどういう時にということは言えませんが、年齢、経験、交際、周囲の状況、生活の基盤等のさまざまな要素が、一つになった時とでも言いましょうか。恋愛が自由化され、交際範囲が昔よりも広がったことは事実ですが、それでも、なかなか、結婚相手ともなると、そう簡単にみつかるものではありません。そこで、周囲の人が気づかって、いろいろ紹介してくれることになるわけですが、そうした好意も、一つのチャンスとみてよいのではないでしょうか。
 当然、チャンスは待つものではなく、みずからつくるものです。決して、人の意見のみで、左右されてはなりません。しかし、周囲の人が、いろいろと考えてくれているというのは、さまざまな条件が整いつつあることでもあるのです。この時、自分なりのはっきりした考えをもつことは、きわめて大切なことです。人の意見に従うのではなく、その意見を通して、自分として考えていくことです。もっとも、それを逃せば、絶対にチャンスはこないなどと思いつめることはないでしょう。自分の生涯に、かけがえのない問題であるだけに、慎重のうえにも慎重であるべきことは言うまでもありません。
 さらに、将来のこととして、結婚してからのことを申し上げたい。結婚生活にとって大事なことは、相手の立場になって考えるという姿勢であると思います。男性のエゴイズムと女性のエゴイズムが衝突しあう家庭は悲惨です。愛情とは、相互の理解のなかにはぐくまれていくものです。二つの心が、一つに溶け合うなかに、つねに新鮮な生命が蘇っていくにちがいありません。
 人間の精神というものは、つねに新しさを欲し、同時に調和を求めているのです。そこに人間としての特質があるといっても過言ではないでしょう。したがって、家庭生活をよりよきものとしていくためには、新しさと調和とが絶えず考慮されていく必要があります。それがないと、いつのまにか心の中に「倦怠」が忍び寄ってくるものです。五年、十年とたつうちに、大なり小なり、だれしも経験することかもしれません。それは、一つの試練であると思います。しかし、その試練を乗り越えていく賢明さがなくてはなりません。愛とは、固定したものでも、静寂なものでもない。あたかも噴水のように、人間の心の泉から、わきいずるものなのでしょう。
 特に、いかなる人間関係においてもそうですが、言葉というものは、大切な役目を果たします。夫婦生活は、長い会話であるといった哲人もいます。時には、いたわりと慰めと励ましの言葉も必要です。
 結婚生活とは、一人の男性の奏でる旋律と、一人の女性の奏でる旋律との交響楽であり、その和音を豊かなものにするために、絶えざる人間対人間の誠実な心の交流があるべきではないでしょうか。
 とにかく、結婚はスタートが重要です。もっと深く考えれば、結婚以前の交際のなかにも、すでに新しい人生の萌芽があるといえましょう。現在の人生のあり方が、一生を貫くものでもあります。
 してみれば、結婚という問題を通じて自分自身を見つめ、確かな物の見方、考え方を養うことが、幸福をつかむ要件であると、私は考えたいのです。

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