Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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平和憲法と日本  

「私はこう思う」「私の人生観」「私の提言」(池田大作全集第18巻)

前後
4  世界を二分する超大国、アメリカとソ連もまた、ゆっくりとではあるが、この方向に傾きはじめている。この二大国の場合は、彼らが、これまで開発競争を繰り広げてきた核兵器が、いわゆる最終兵器であって、簡単に使えるものではないこと、傘下の諸国に批判の声が高まっていることにもよる。いずれにせよ、国家間の紛争を解決するのに武力を用いることを愚かだとする時代に近づいている事実に変わりない。
 理念的には、生命の尊厳をすべての国家がその国民に対して保障しなければならない時代に入りはじめたと私は考える。政策的にも戦争に巨費を投じても失うものばかり多くて、得られるものはいかにも少ないことが常識化している。この両面の動機から、人類は、全体として戦争を放棄し、平和的に話し合うことによって相互の矛盾を解決する、一歩成人した段階に前進しているとみて、まず間違いないだろう。
 事実、戦争よりも平和を、外国への侵略よりも国内産業の振興を図ったほうが、はるかに幸福と繁栄への近道であることは、幾多の国によって証明ずみであろう。いな、日本自体よく考えてみると、平和主義のおかげで、想像もできなかった今日の繁栄を遂げることができた典型ではなかろうか。科学技術のめざましい革新と、平和なるゆえに蓄積された資本の増大が、これを可能にしたのである。
 人類の未来にあって、日本民族が果たすべき最も大事な道が、ここに明らかに敷かれている。それは、とりもなおさず、平和憲法の精神と理想とを、あらゆる国々、あらゆる民族の心に植えつけ、戦争放棄の人間世界を広げて、この地球を、宇宙を覆いつくすことである。

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