Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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友情について  

「私はこう思う」「私の人生観」「私の提言」(池田大作全集第18巻)

前後
3  友の不幸に自分も泣き、友の喜びに自分も心を躍らせる。そんな生命の共鳴が、本当の意味で社会に開かれた人格を形づくっていくのであろう。これほど貴重な人生の勉強もあるまい。もし、わが子の教育を真剣に考える親であるなら、友人をつくること、友人を大事にすることを忘れては断じてならぬと、私は思うのである。
 当たり前のことをいうようだが、青年はすすんで友を求めよき友をつくるとともに、友によってみずから学び、自身も友を正しく啓発することに至上の価値をおくべきであろう。そして、青春時代の友情を大切に守りそだて、生涯つらぬくことである。ただ、その場合、友情は善悪ともに通ずることも知らなくてはならない。悪友は得やすく、善友は得がたい。本当の善友とは、ときに自分の欠陥や誤りを、厳しく指摘してくれる人である。偽り親しむのは、かえって身を滅ぼす悪友である。
 人間の弱味は、往々にして、欠点を指摘してくれる人から、身を遠ざけようとするものである。だが、実際に、この欠点によって、わが身の蒙る――現実の結果は、それよりも何十倍も辛いものとなるのだ。そうした失敗をさせぬために教えてくれる友だちや先輩の苦言は、どれほど有り難いかしれない。
 よき友をもつこと。
 よき先輩をもつこと。
 これは、人生の至上の幸運であり、誇るべき宝であるといっても過言ではなかろう。まして、人間性がさまざまの逆らいがたい力で、惨めにも抜き取られつつある現代社会で、友情という人間関係は、人間性を守る唯一の砦とすらなっていくようである。

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