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日蓮大聖人・池田大作

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烈日の如き人生への想い 井上 靖  

「四季の雁書」井上靖(池田大作全集第17巻)

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8  思わずお話が横にそれましたが、詩集の中で「母」以外に「主題」というお作にも、いろいろ考えさせられました。
 小説や美術に主題があるように、人生にも主題がある、人生とは――、刹那と未来という白紙に坐して、自分の自画像を作り上げる労働である、と書いておられます。本当に人生というものは、そういうものであろうと思います。人生にも主題があるに違いありません。そしてその主題を完結させるために人の一生はあるのでありましょうし、言いかえれば、人生というものは、己が自画像を未来という白紙に描く盛んな営みに他ならないでありましょう。
 「主題」を拝見し、自分の人生の主題は何であろうかと思いました。それからまた、私の場合はまだ自分の自画像を描き上げていず、それを描き上げる途上にいることを思い、少からず勇気を覚えました。
 このほか「天才」について、「富士」について、それからまた他のご著書で、レオナルドの「モナ・リザ」にお触れになっておられますが、その「モナ・リザ」観について、何か申し上げてみたいと思っていましたが、長くなりますので他の機会にさせて頂きたいと思います。
 一九七五年八月十三日

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