Nichiren・Ikeda
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友好そして師と弟子 池田大作
「四季の雁書」井上靖(池田大作全集第17巻)
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7 武漢を訪れる途次、私は長江の流れを見ました。千六百メートルにも及ぶ武漢長江大橋の眺めも壮大でしたが、私にはむしろその下を流れる長江の、悠久というか、渺茫と形容したらいいのか、とにかく巨大な人間の歴史のドラマを秘めた大きさに、打たれずにはいられませんでした。そして、ふと、この杜甫の詩の断片を思い起こしたのです。
武漢大学では呉先生の教え子である日本語科の学生たちが、「赤とんぼ」を歌ってくれました。別れの時、記念の刺繍を贈られましたが、それは彼女の教え子たちが作ってくれた手作りのものです。それを机の傍らにみて、思いつくままにこの手紙を書きつらねてきました。
取りとめもない話になってしまって恐縮ですが、帰国後の忽忙の裡に、先生への書信を認めることは、実に心愉しいことでした。乱文乱筆は御海容下さい。
五月に訪中されるとのことですが、先生の御健康と、一路の愉しからんことを祈りつつ。
一九七五年四月二十八日