Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ゴルバチョフに語られた寓話 チンギス・アイトマートフ

「大いなる魂の詩」チンギス・アイトマートフ(池田大作全集第15巻)

前後
6  為政者は、その時、流浪の人に答えた。
 「七日間、私を庭で待っていてくれ。私は熟考しよう。七日後に、もし私がお前を呼ぶことがなければ、行ってしまうがいい。自分の道を行くがいい……」
 このような古い寓話を、私はゴルバチョフに語ったのであった。彼は表情を変え、黙していた。私は早くも自分のやったことを後悔し、挨拶をして帰ろうとした。その時、彼は苦笑しながら、口を開いた。
 「言わんとすることはわかっています。出版予定の本の話だけではありませんね。しかし、七日間も私を待つ必要はありません。七分でも長すぎるくらいです。私はもう選択をしてしまったのです。どんな犠牲を払うことになろうとも、私の運命がどんな結末になろうとも、私はひとたび決めた道から外れることはありません。
 ただ民主主義を、ただ自由を、そして、恐ろしい過去やあらゆる独裁からの脱却を――私がめざしているのは、ただこれだけです。国民が私をどう評価するかは国民の自由です……。今いる人々の多くが理解しなくとも、私はこの道を行く覚悟です……」
 ここで、私はその場を辞した。

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