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日蓮大聖人・池田大作

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「辺境」が生みだす文化の活力  

「大いなる魂の詩」チンギス・アイトマートフ(池田大作全集第15巻)

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8  池田 さあ、どうなるでしょう。都市化や近代化の行く末ということは、ここで論ずるには大きすぎるテーマです。ただ、私が、一つだけ提起しておきたいのは、それを考えるさいの視点です。すなわち、都市化や近代化を「反時代的」にとらえるのではなく「弁証法的」にとらえるべきだということです。
 近代文明の生みだした歪みがいかに大きいからといって、いきなりそれ以前、というよりもルソーやソローが半ば憧憬のまなざしを投げかけていたような世界に戻るという「反時代的」なアプローチは現実的ではありません。人口問題一つ取り上げてみても、おそらく少なくとも半分から三分の二ぐらいの人口にならなければならないのですから……。
 そうではなく、やはり近代文明の生んだ良き側面――貧困、飢餓、疾病などの側面への貢献は決して否定できない――を残しつつ、その歪みを是正するという「弁証法的」アプローチによるべきでしょう。ドイツの諺に言う「沐浴の水と一緒くたに子どもまで捨ててしまう」のは愚かです。私は、そうした方向への人類史の舵取りは、困難とはいえ、不可能ではないと信じております。
 ラスプーチン
 一九三七年―。農村派文学を代表。自然環境の保護に活動。
 スタインベック
 一九〇二年―六八年。アメリカの小説家。貧農の姿を社会批判を込めて描く。
 パステルナーク
 一八九〇年―一九六〇年。旧ソ連の詩人、小説家。ノーベル文学賞を辞退。
 ボルシェビキ
 多数派の意。レーニンに率いられ、一九一八年にロシア共産党と改称。過激な共産主義者の意も。
 ソロー
 一八一七年―六二年。アメリカの思想家、随筆家。作品に自然の中で生きる体験をもとにした思索による『森の生活』など。

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