Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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正義の「ありか」とは
「大いなる魂の詩」チンギス・アイトマートフ(池田大作全集第15巻)
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それにしても「私は以前の自分と論争しています」とのあなたの痛ましい告白は、あらためて、ソ連の社会に半世紀以上にもわたって君臨し、人々の魂を引き裂き、切り刻んできた「偉大な思想」――すなわち全体主義的イデオロギーのもたらす悲劇を、文字どおり悲劇というしかない体験の無残さを語ってあまりあります。
ソ連の人々の多くが、程度の差こそあれ、あなたに似通った運命に見舞われているとすれば、そのうえ「偉大な思想」の権威が急速に失墜しゆくなか、それに代わる精神的バックボーンが見当たらないとすれば、たしかに「憎悪が国民の支配的心情」――何人かのソ連の知人から聞いた言葉です――となってしまったのも、無理からぬ一面であるかもしれません。
かといって、あなたの正直な告白が語っているように、神による救済、正義の貫徹へと跳躍するには、唯物論教育七十年のもたらしたギャップはあまりに広く、深すぎるのでしょう。それに加えて、ソ連にかぎらず、近代化の抗しがたい流れは、紆余曲折を経ながらも、社会全体の世俗化をいやおうなしに加速させており、このトレンドが逆転しようとはとても思えません。
私は今、近代化や世俗化の中で魂を活性化させていく宗教の所在、宗教的信念について語りたい衝動に強くかられますが、それはあとに残しておきたいと思います。当面は「人間」や「人間性」ということを機軸に、大いに語り合いましょう。
かのアンドレ・ジッド――一九三〇年代、ボルシェビズムの栄光華やかなりしころのソ連を旅行し、早くも全体主義の危険性に警鐘を鳴らした結果、左翼主義的風潮の中で袋だたきに遭いながらも、「ユマニテ」(人類、人間性)の一語をもって敢然と流れに抗したジッドにならって、私たちも「ユマニテ」の内実を問いつづけ、語りつづけましょう。
義人ヨブ
旧約聖書の「ヨブ記」に登場。
司馬遷
前二世紀―前一世紀ころ。前漢の歴史家。
宮刑
去勢による刑。死刑に次ぐ重刑。
アンドレ・ジッド
一八六九年―一九五一年。フランスの作家、批評家。ノーベル文学賞受賞。
ボルシェビズム
レーニン主義ともいう。前衛党に率いられたプロレタリア革命の実現をめざし、多数派としてロシア革命を主導した思想。
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