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日蓮大聖人・池田大作

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5 倫理と政治家  

「21世紀への人間と哲学」デルボラフ(池田大作全集第13巻)

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11  デルボラフ 政治倫理に対する“宗教”の貢献について私の考えを言わせていただくと、宗教ができることと、その限界がどこにあるかという問題を明確にする必要があると思います。
 私の言う意味は、政治を、あの偉大な教育者のフリードリッヒ・ヴィルヘルム・フェルスターがめざしたような「組織化された隣人愛」の分野とみなすことはできないし、政治は同情を計画的に利用するものではないということです。
 しかし、宗教は、その道徳規範にしたがって、政治家や政治関係者の世俗的行動を変革させるのに貢献できます。そこから、殺生、欺瞞、虚偽といったことの禁止や、所有物の不可侵権のような、われわれの社会における基本的な規範に対する違反を規制し、権力欲、物欲、名声欲といった好ましからぬ情念の増大を抑制することができます。さらに、宗教は――あなたのご指摘のとおり――世俗的良心を超越したところの、人間の心の中心から生まれるものであるゆえに、世界に対する根本姿勢に対して積極的なかたちで影響をあたえることもできるのです。
 フェルスター(一八六九年―一九六六年) ドイツの教育学者。大学教授の職を辞し、キリスト教思想による教育の改造をこころざした。

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