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日蓮大聖人・池田大作

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後記 「池田大作全集」刊行委…  

「生命と仏法を語る」(池田大作全集第11)

前後
6  このように、仏教は、これまで、医学や科学と対立したり、排除しあった歴史は一度もない。かえって、『仏教的生命論』によって、その時代の科学を包摂し、倫理性を与え、人々の幸福へと導いていったのである。今、人類が希求しているのは、西洋科学技術を人間の幸福のために導きゆく哲学的・宗教的生命論である。
 池田名誉会長は、本書で、西洋科学の知見を、仏教の法理で包摂しながら論を進めている。例えば、遺伝子次元では「業」の思想、脳科学や深層心理学には「色心不二論」と「煩悩即菩提論」、生態学や「ガイア仮説」には「依正不二論」、延命治療のあり方や「生」と「死」の問題には「本有の生死」「方便現涅槃」の法理を、――といったように、それぞれの具体的課題に即しながら、『仏教的生命論』を自由自在に駆使し、倫理的、哲学的指針を与えていることは、一読すればあまりにも明瞭であろう。また、それにとどまらず、「一念三千論」、「九識論」といった、『仏教的生命論』の全体観を示す法理をも説き明かし、「永遠なる生命」に根ざした人間の幸福なる生き方、心身ともに健全なる人生をも示されている。
7  池田名誉会長が、仏教に基づいて自在に展開しゆく”生命の智慧”は、仏教医学、中国漢方医学、現代西洋科学をも包摂しながら、人類の存続と繁栄に向けて、倫理的、哲学的方向性を与えゆくものであり、「生命の世紀」を創出しゆく”光源”として、ますます、その輝きを増していくであろう。
   平成五年十月二日

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