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日蓮大聖人・池田大作

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注解  

「宇宙と仏法を語る」(池田大作全集第10巻)

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2  か行
 ガウスの定理
 ドイツの数学者・物理学者・天文学者であるガウスが発見した定理。ベクトル場Aがあるとき、閉曲面S内の空間をVとすれば、Aの発散のV内の体積積分はAのSの法線方向の成分をS上で面積積分したものに等しい、という定理。
 核力
 原子核の陽子と中性子の間に働く強い短距離力のこと。この力により、陽子と中性子が狭い領域内にまとまっている。核力によって核子中間子相互作用の結合定数を決めるなど中間子論の定量的な支持が初めて得られた。
 カニ星雲
 超新星爆発の残骸で、一〇五四年に発見された。おうし座にあるガス星雲。形がカブトガニに似ていたことから、この名がつけられた。
 ガモフの宇宙論
 アメリカの理論物理学者であるガモフ(George Gamow 1904~1968)を中心に唱えられた、宇宙は膨張を続けているとする宇宙論(膨張宇宙論)。ガモフは一九五九年十月に来日し、「宇宙と生命の起源」などのテーマで各地で講演した。
 ガリレオ
 (Galileo Galilei 1564~1642)イタリアの天文学者・物理学者・哲学者。力学上の諸法則の発見、天体の研究など近代科学の父といわれる。コペルニクスの地動説を是認し、宗教裁判にかけられた。主著に『新科学対話』『天文学対話』など。
 勧持品
 法華経勧持品第十三のこと。持品ともいう。釈尊滅後の末法には、法華経を弘める行者に三類の強敵が競い起こることが示されている。その三類の強敵を説いた文を「勧持品の二十行の偈」という。
 カント
 (Immanuel Kant 1724~1804)ドイツの哲学者で、批判哲学を樹立。ニュートン力学なども研究し、太陽系の構造と起源に関する論文を書いた。主著に『純粋理性批判』『実践理性批判』『道徳哲学原論』など。
 カント=ラプラスの星雲説
 太陽系は最初は星雲状で、回転運動の状態から収縮して環を生じ、星ができ、元の物質の周囲を回転するようになって惑星が生じたとする説。カントの説をラプラスが力学的に補説した。
 元品の法性
 根本の悟りのこと。元品の無明に対する語。元品は根本の意で、法性は真実不変の本性のこと。つまり、衆生の生命にある真理・智慧の根本となる本性のことをいう。
 元品の無明
 衆生の生命に本然的にそなわっている根本の迷いのこと。元品は根本の意で、無明は物事が明らかにみえないことをいう。元品の法性に対する語。
 九七年問題
 英領・香港の歴史は、南京条約(一八四二年)によりイギリスに割譲されたことに始まる。その後、当時の清朝政府との間で、九竜半島の残り全部と付近の島・海域を一九九七年まで租借する条約を締結。その租借期間が一九九七年六月末に切れることをさす。
 境淵無辺
 『法華玄義』に方便品の「諸仏智慧甚深無量」の文を釈して「境淵無辺なる故に甚深といい智水測り難き故に無量という」とある。仏の智慧が無限の深さと広がりをもつことを意味している。
 教相・観心
 教相とは、仏の所説の教法を表面的に解釈することで、観心とは教相の肝要、奥底を己心に観じていく実践修行のことをいう。
 境智の二法
 境とは認識・価値判断の対象として客観視した世界をさし、智とは認識し評価する主観的智慧をいう。仏法では、この境智が深く融合しあうところに価値を生じ幸福があると説く。
 
 生命活動の不快、苦しみをいう。楽に対する語。仏法においては、四苦八苦・四諦・十二因縁・三道などいろいろな角度から解明されている。
 空仮中の三諦
 空諦・仮諦・中諦のこと。諦は「あきらか」「つまびらか」の意。空諦とは万法の性分をいう。仮諦とは諸法は変化してやまず、因縁によって仮に和合しているということ。中諦とは空でもなく仮でもない、文字・言語では表現できないありのままの実在のこと。この三諦は一つの実在を三つの観点から認識したものであり、分離して考えることはできない。すなわち三諦は一諦に含まれ、一諦は三諦によってとらえた実在の一面である。
 九識心王真如の都
 九識とは天台宗・華厳宗等において、物事を識別する心の作用を九種に分けたもの。その第九識(阿摩羅識)を心王と呼ぶ。真如は真実にして不変であるの意。また、心王の住するところの意で都といい、九識は生命の根本の真理であるゆえに心王真如の都という。
 クローン抗体
 受精を経ずに、親と遺伝的にまったく同じくつくられた(クローニングされた)個体の集団。一九六二年、イギリスのガードン博士が初めてクローン動物をつくることに成功した。
 桂冠詩人
 英国で王室の宮内官として終身年俸を受ける詩人。古代ギリシャで、名誉ある詩人が頭に月桂冠をのせた故事にならったもの。一九八一年の世界詩人会議において、文学上業績詩才ある“日本の桂冠詩人”として、その称号が池田大作氏に贈られた。
 下種益の仏
 下種益とは、三益(下種益・熟益・脱益)の一つで、種蒔きにたとえて、仏が衆生の心田に成仏の種子を下ろすことをいう。つまり末法の衆生は、釈尊に縁がないゆえに、妙法を下種され信受することによってのみ成仏できる。その教主日蓮大聖人をさして、下種益の仏という。
 灰身滅智
 小乗教の理想とする境地で、一切の不幸の原因は煩悩にあるとし、そのよりどころである心身を共に滅してしまい、空の境地に入ろうとする教え。灰断ともいう。
 ケプラーの法則
 ケプラーが発見した、惑星運動についての三法則。①惑星は太陽を焦点とした楕円軌道をえがく。②太陽と惑星を結ぶ動径の面積速度は惑星ごとに一定である。③太陽と惑星の平均距離の三乗と公転周期の二乗の比は、どの惑星についても同じである。
 牽牛星
 わし座の首星アルタイルの漢名。和名では彦星といい、七夕の伝説で有名。天の川をはさんで織姫星と相対して白色光を放つ。表面温度七五〇〇度、質量は太陽の一・八倍とされ、秒速二六〇キロ以上の速度で自転している。
 原始星
 恒星が生まれるまえの母胎となるガスや塵の凝集した天体。表面温度は太陽より低いが、太陽の数百倍も明るい。
 原始惑星
 微惑星(星の誕生にあたり固体層の重力分裂の結果生まれたもの)が、相互に衝突・合体を繰り返しできる惑星。質量が1025グラム(ほぼ月の質量)に達したものをいう。
 
 過去における身口意の所作が、未来にもたらされる結果の原因となることをいう。業因ともいう。善悪に分けて善業と悪業がある。また、過去世の業を宿業といい、現世の業を現業という。
 豪談
 桂小五郎と山内容堂の意をうけた長州の久坂玄瑞、土佐の中岡慎太郎が、蟄居九年の佐久間象山に会うため信州松代に赴いた。そのもようを高杉晋作が「豪談」と称した。
 五陰仮和合
 五陰(色陰・受陰・想陰・行陰・識陰)が、仮に和合して生命を構成していることをいう。①色陰とは有形の物質のこと、②受陰とは感覚作用、③想陰とは心に思い浮かべる作用、④行陰とは思いから起こる行動、⑤識陰とは認識・識別作用をいう。
 虚空会
 法華経説法の会座の一つ。法華経は初めに霊鷲山会、それから虚空会、最後にまた霊鷲山会と二処で三回にわたって説法が行われた。そのうちの重要な説法(宝塔品から嘱累品まで)が虚空会で説かれた。仏も大衆も、すべて虚空のなかに存在するため虚空会という。
 国連平和賞
 国連に大きな貢献のあった人に国連事務総長から授与される賞。
 五時八教
 釈尊一代の説法を天台が体系的に分類整理したもの。五時とは、その説かれた年代にしたがって分けた華厳時・阿含時・方等時・般若時・法華涅槃時をいい、八教とは衆生化導の方法から釈した化儀の四教(頓・漸・秘密・不定)と、その説法内容から分類した化法の四教(蔵・通・別・円)のことをいう。
 小林秀雄
 (1902~1983) 正統芸術派を代表、近代批評を創造した評論家。独自の言語論を基調とし、プロレタリア文学の観念性を批判。近代日本文学の再検討、創造的批評の実践などをめざし活躍した。主著に『私小説論』『ドストエフスキーの生活』『無常といふ事』など。
 五百塵点劫
 釈尊が法華経本門において、迹門で説いた始成正覚(インドで初めて仏になったこと)を破して、五百塵点劫という長遠な過去に成道し(久遠実成)、それ以来衆生を教化してきたと明かしたこと。その長い時間を五百塵点劫といい、仏の生命の永遠性を示している。
 権教
 権とは真実に対して「かり」という意味。すなわち、釈尊が衆生を法華経に導入するために説いた方便の教え(爾前経)を権教という。実教(法華経)に対する語。
3  さ行
 サイクロプス計画
 一九七一年にアメリカで発表されたSETI(地球外知性探査)計画。直径一〇〇メートルのアンテナを一〇〇〇個以上コンピューターで制御する。
 三界の相
 迷いの煩悩にわずらわされて、いつまでも六道輪廻を繰り返している三種の境界(欲界・色界・無色界)のこと。欲界とは食欲・性欲などの欲望の世界、色界とは物質だけの世界、無色界とは物質を超越した精神世界のことをいう。
 三角測量
 三角形の一辺とその両側の二角を測定して、三角法の計算で他の諸量を求める方法。その一辺を基線と呼び、ふつう距離が既知の線を用いる。
 三車火宅の譬え
 法華経譬喩品第三に説かれている譬え。法華経の七譬の第一にあたる。長者(仏)が火事になった家(娑婆世界)の中で遊んでいた子供(一切衆生)に、羊車(声聞)・鹿車(縁覚)・牛車(菩薩)の三車(三乗)を与えるといって助け出し、実際には大白牛車(一仏乗の法華経)を与えたこと。開三顕一の法門を譬喩のかたちで説いている。
 三千塵点劫
 法華経迹門(化城喩品第七)において、釈尊が結縁の衆生との化導(教化し導くこと)の始まりを明かしたもの。すなわち、三千塵点劫(膨大な数えることのできない長い時間)の昔に、大通智勝仏という仏がいて、その滅後に十六人の王子が法華経を説法した。その第十六王子が娑婆世界の釈迦牟尼仏であり、そのとき化導した衆生が、今の釈尊の弟子であると明かした。
 三千大千世界
 古代インドの宇宙観。須弥山を中心に月・四州(地球)・六欲梵天(惑星・衛星)を含むものを一世界とし、その百億倍したものを小千世界といい、小千世界を千倍したものを中千世界といい、さらに千倍したものを三千大千世界という。広大無辺な大宇宙を示したもの。
 三毒
 善根を毒する煩悩で、貪瞋癡の三種。三根ともいう。貪とはむさぼり愛すること、瞋とはいかり、癡とは無知・おろかなこと。この三種の煩悩は、一身煩悩の根本となり、衆生の心身を今世・後世にわたって毒するので三毒という。
 三変土田
 法華経見宝塔品第十一で、釈尊が三度国土を変じて浄土となしたこと。すなわち凡聖同居土(凡夫と聖者が同居している娑婆世界)・方便土(声聞・縁覚・下位の菩薩が住する国土)・実報土(上位の菩薩が住する国土)の三土を清浄にし、一仏国土としたことをいう。
 色心不二
 色と心が二にして不二であること。色(色法)とは物質・肉体・外形的なもので、心(心法)とは精神・心の働き・内在する力用のこと。色法すなわち外形としてあらわれた具体的な相と、心法すなわち生命内奥の世界の二つが不二であることをいう。
 四元素説
 物質を構成する要素として考えられた四元素(土・水・空気・火)のこと。古代ギリシャの哲学者のなかで、タレスは水を、アナクシメネスは空気を、ヘラクレイトスは火をそれぞれ元素とする一元論を唱えた。エンペドクレスはこれに土を加えた四元素説をとり、アリストテレスに受け継がれ確立された。
 自体顕照
 妙法による智慧の働きをさす。日蓮大聖人は、万法の体である境(妙法蓮華経)に自身の智が冥合することを自体顕照の姿とされている。つまり、自分を明らかに照らしだすことであり、個性を最高に発揮することをいう。
 四大州
 古代インドの世界観で、世界の中心とされた須弥山の四方にある四つの大きな島のこと。東弗婆提・西瞿耶尼・南閻浮提・北鬱単越の四つをいい四州ともいう。『倶舎論』にでてくる。
 七譬
 法華経に数多く説かれている譬喩のなかでも、とくに重要な七つの譬喩のこと。火宅・窮子・薬草・化城・衣裏珠・髻珠・良医の法華経の七大喩のこと。
 十界
 仏法の立場から一個の生命体、生命現象を解明したもので、瞬間瞬間の時間の流れの中にあらわれる生命の境地を十種(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天・声聞・縁覚・菩薩・仏)の境界に分けたもの。
 十界互具
 爾前経における十界各界の固定的な差別を取りはらい、法華経にいたって十界のそれぞれに、さらに十界がそなわっているとしたこと。つまり十界は、一個の生命にそなわっている渾然一体のものとして明かされた。これは、一念三千の重要な原理となっている。
 実教 
 仏が自らの悟りのままを説いた真実の教えのこと。権教に対する語。実はまこと・真実の意。法華経をさす。
 十不二門
 天台の法華玄義に説かれた本迹の十妙を妙楽が釈したもの。色心不二門・内外不二門・修性不二門・因果不二門・染浄不二門・依正不二門・自他不二門・三業不二門・権実不二門・受潤不二門の十の不二門のこと。
 十方法界
 十方は、東・西・南・北の四方、東南・東北・西南・西北の四維、上下の二方のこと。法界とは、森羅万象の現象世界、すなわち全宇宙のこと。
 死魔
 四魔(煩悩魔・陰魔・死魔・天子魔)の一つ。仏道修行をする者が、死によって修行の道を閉ざされたり、その死によって他の者が仏法に疑いをもつことなどをいう。
 四門遊観
 釈尊が出家する以前、悉多太子のときに王城の四つの門から出て、人身に生老病死の四苦があるのを知ったこと。修行本起経によると、東門から出て老人を見、南門で病人に会い、西門で死人を見、最後に北門から出て沙門(出家者)に会い、その清浄な姿を見て出家得道を発心したという。
 釈尊
 釈迦牟尼世尊の略。釈迦の尊称。釈尊は過去世における修行によって、三千年前にインドに出現し、十九歳のときに出家、三十歳で成道したとされる仏である。そして成道のときより五十年の間、八万法蔵を説法し、最後の八年間で法華経二十八品を説いた。
 迹門・本門
 迹門とは法華経二十八品のうち、前半の序品第一から安楽行品第十四までのことをいい、垂迹の仏(始成正覚の仏)を説いた経文。本門は後半の従地涌出品第十五から普賢菩薩勧発品第二十八までをいい、仏の本地(久遠実成)を明かした経文。
 シャーマニズム
 巫女を媒介に霊的存在との接触・交渉ができるとする信仰。鬼道、呪術。語源は、ツングース語のシャーム(とびあがる)に由来。
 十二因縁
 三界の迷いの因果を十二種に分けてあらわしたもの。すなわち、無明・行・識・名色・六入・触・受・愛・取・有・生・老死の十二のこと。
 宿業
 過去世において、身口意の三業の積み重ねによってつくった業因のこと。善い宿業(善業)と悪い宿業(悪業)があるが、一般的には悪いほうの意味に使われる。
 衆生所遊楽
 法華経寿量品第十六の文。「衆生の遊楽する所なり」と読む。衆生とはわれわれ凡夫のことで、所とは娑婆世界(現実社会)、遊楽とは最高の幸福境涯をさす。すなわち、寿量品で娑婆即常寂光土(最高の浄土)と説き明かされ、苦悩と無常の現実社会を妙法をたもつ衆生の最高の遊楽の場所と転じたことをいう。
 須弥山
 インドの世界観・宇宙観で、世界の中心にあるとされる最高の山。妙高・妙光・安明などと訳す。周囲には七つの海と七つの山があるとされる。紀元前二〇〇〇年ごろには、すでにこの須弥山を中心とする世界観があった。
 須弥山説
 江戸後期、佐田介石などは『須弥須知論』で、「須弥山の説、立たざるときは釈迦一代の説法一つとして立つべきものなし」と論陣をはった。
 寿量品
 法華経巻六如来寿量品第十六の略。釈尊の本地久遠実成を明かした重要な品。その文底には、日蓮大聖人こそ末法の御本仏であり、南無妙法蓮華経のみが衆生を救済できる唯一の法であることが説かれている。
 定業
 苦楽の果報をうけること、またその時期が決定している業のことをいう。善果をうけるのを善の定業、悪果をうけるのを悪の定業という。不定業に対する語。
 生住異滅の四相
 四有為相ともいう。一切の事象が生じ(生相)、存続し(住相)、変化し(異相)、消滅する(滅相)過程をいう。人間などの一生にあてはめた「一期四相」(大の四相)、瞬間の事象にあてはめた「刹那四相」(小の四相)などがある。
 成住壊空
 成劫・住劫・壊劫・空劫の四劫のこと。宇宙・生命その他一切のものの流転をあらわす。成劫は成立・形成する期間、住劫は安定期間、壊劫は壊滅していく期間、空劫は壊滅が終わり、空となる期間をいう。
 小乗教
 小乗仏教ともいう。少数の人を短期間にわたってしか救うことのできない教え。大乗教に対する語。大乗教が自利利他の両面を満たす菩薩道を説くのに対して、小乗教では自己の悟りのみを目的とする声聞・縁覚の道を説く。
 焦熱地獄
 八大地獄の一つで炎熱地獄ともいう。炎が身につきまとい、熱苦に耐えがたいこと。正法を求めようとしない邪見の者は、この地獄に堕ちるとされる。
 生滅滅已・寂滅為楽
 「生滅滅し已って寂滅を楽と為す」と読む。涅槃経巻十三などに説かれている。生滅とは生より死までの人間の生涯をいい、滅已とは煩悩を断ち切ることをいい、寂滅は涅槃を意味し、為楽とは悟りをいう。つまり、生死にまとわりつく煩悩を断ち切り、到達する涅槃の世界に、このうえない安楽があるという意味。
 四要品
 法華経二十八品のなかで、その要となる四品のこと。方便品・安楽行品・如来寿量品・観世音菩薩普門品をさす。
 生老病死の四苦
 人の一生における根本的な四種の苦しみのこと。四苦八苦のなかの四苦のこと。①生苦(生まれ出る苦しみ)。②老苦(年老いていく苦しみ)。③病苦(病気による苦しみ)。④死苦(死ぬことの苦しみ)。
 諸行無常・是生滅法
 「諸行は無常にして是れ生滅の法なり」と読む。この世のあらゆる存在は、生と死を間断なく繰り返して移り変わり、決して同じ状態に止まることがない生滅の法であるということ。涅槃経巻十三の文。
 諸天善神
 法華経の行者を守護し、民衆や国土を守り、福をもたらす働きをいう。梵天・帝釈・八幡大菩薩・天照大神をはじめとする一切の諸天・諸菩薩の総称で、それ自体は信仰の対象ではなく、正法護持としての存在である。
 身・口・意の三業
 身業・口業・意業の三つ。身体で行う動作・ふるまいを身業とし、言語による表現を口業、心で思う思慮分別を意業という。身口意の三業は仏道修行の根本で、行動・話すこと・思うことの三つが相応していなければ、正しい仏道修行の姿勢とはいえない、とされる。
 真空冥寂
 不可思議の意で仏の悟りのこと。妙法蓮華経の妙をさす。『修禅寺相伝日記』等にある。
 人工心臓
 心臓移植に代わるものとしてすすめられている人工の心臓装置。ポリウレタンでつくった埋め込み式の人工心臓の研究がアメリカで行われ、一九八三年、ユタ大学で重症心不全患者のクラーク氏に装着し、延命に成功したが、百十二日後に死亡した。
 塵点劫
 塵点とも塵劫ともいう。きわめて長い時間のことで、三千大千世界を微塵にしてその一点の塵を一劫(一劫はふつう八百万年ともあるいは千六百万年ともいわれる)と数えるような非常に長い時間のことをさす。法華経では、三千塵点劫・五百塵点劫の二つが説かれている。
4  スカイラブ
 アポロ計画に使われた宇宙実験室。サターンV型のロケットの三段目を用いた。一九七三年から七四年まで、三回それぞれ三人の宇宙飛行士が搭乗して大きな成果をあげた。
 ストーン・ヘンジ
 巨石の四重環列。イギリスのウィルトシャー州ソールズベリ平原にある。高さ二~七メートルの柱状石が並んでいる遺跡で、新石器時代のもの。
 スペースシャトル
 使い捨てロケットに代わり、何回も使える人工衛星等の運搬機、宇宙連絡船のこと。ブースターと軌道船とからなり、軌道船は任務を終えた後に回収される。アメリカは一九八一年にコロンビア号で初の軌道飛行に成功。その後、チャレンジャー号、ディスカバリー号、アトランティス号の四機が順調に飛行してきたが、二十五機目の八六年一月のチャレンジャー号の事故で利用計画が大幅に遅れた。八八年九月に再開された。
 スペクトラム型
 天文学において、恒星(一部の星雲を含む)をスペクトル線の種類や強度分布によって分類したもの。主に表面温度の差などによって決められる。
 星間ガス
 宇宙空間に星のほかに存在する薄いガス。元素組成は重量比七〇~七五パーセントが水素、二三~二八パーセントがヘリウム、残りはそれより重い元素からなる。
 星間物質
 宇宙に存在するガス状の物質。九〇パーセントは水素原子と分子から成り、残りの一〇パーセントはほとんどがヘリウム原子。この星間物質の雲のなかで、星の誕生、爆発、そして新しい星への世代交代の過程が行われる。
 星間分子
 星間物質は主に水素原子・水素分子などから成るが、その他にアンモニア分子・エチルアルコールなどの原子が結合した分子が発見されている。これを星間分子といい、星間空間で生命の進化が始まったのではないかと生化学的立場で重要視されている。
 赤色巨星
 半径が大きく、表面温度の低い赤色の星。大きいものは、半径が太陽の数百倍にもおよび、地球の公転軌道の大きさに匹敵する。うしかい座α星・オリオン座α星などがその典型である。
 生命の自然発生説
 生物は無生物からも発生しうるという、アリストテレスが唱えた説。例えば、肉汁から微生物が自然に発生するという考え。十九世紀、パスツールによって誤りであることが実証された。
 世親
 四~五世紀ごろのインドの学僧。天親ともいう。初め小乗仏教を学び、後に兄の無著に教化されて大乗に入った。兄とともに唱えた唯識仏法は中観学派とならんでインド大乗仏教の二大系統をなした。著書に『倶舎論』『唯識二十頌』など。
 絶対3度K
 物質をつくっている原子は互いに乱雑な動きをしていて、その運動の激しさを示す尺度が温度である。しかし、その運動は摂氏零下二七三度になるとなくなる。これを絶対零度といいKと表す。絶対3度Kは、摂氏零下二七〇度となる。
 Zゼロ
 ウィーク・ボゾン(弱い相互作用を媒介する粒子の意味)の一つ。陽子の約一〇〇倍の重さをもつ。一九八三年にスイスの欧州合同原子核研究所(CERN)で発見。ワインバーグ、サラムなどの理論の決定的証拠となった。
 占星術 
 天体、とくに惑星の運行によって人生・社会の現象を予言する一種の占い。近世以前の天文学の一形態で、古代のバビロニア・インド・中国などに始まり、中世まで行われた。
 善知識
 人に益をなし、仏道に導く有徳の善友をいう。「摩訶止観」には外護、同行、教授の三種の善知識が説かれている。外護とは欠乏や畏怖を防ぎ、安穏に道を修することを得せしむるもの。同行とは心を同じくして互いに激励し、革新し、切磋琢磨しあうもの。教授とは巧みに法を説いて、人の心を転破するものをいう。
 
 そまつな・あらい・疎遠な・隔たりのあること。の略字で、鹿の群れがはねて遠ざかる意から、雑・あらあらしいとの意味をもつ。仏法では妙に対する語。
 蔵教・通教・別教・円教
 天台が釈尊の教えを教理内容によって四種に分類したもので、化法の四教という。三蔵教は小乗教、通教は大乗の初めの教え。別教は二乗を除き、菩薩のために説かれ、円教は三諦、十界、十如、三千の諸法が円融円満で完全無欠な教えをいう。蔵通別の三教には仏果の名はあるが、実際には仏果にいたる人はいないと説く。
 総・別
 総とは、全体に対するということで、総体的な観点。別は、個々に対することで、一重深く立ち入った観点をいう。
 嘱累品
 法華経嘱累品第二十二のこと。一切の菩薩に対する総付嘱が説かれている。嘱累とは、仏が教法を菩薩に付嘱すること。
 素粒子
 物質を構成している究極の粒子。次の三つの族に分類される。①レプトン(弱粒子)=電子・ニュートリノなど。②ハドロン(強粒子)=陽子・中性子など。③ゲージ粒子=①と②の間の力を媒介する粒子。これらの粒子が、更に小さな粒子からなっている可能性がある。
5  た行
 帝釈
 帝釈天ともいう。能天帝のこと。仏法を守護する諸天善神の一。釈迦提桓因陀羅の訳。インド神話上の最高神で雷神。仏教では梵天王とともに護法の神となり、須弥山に住み、三十三天を統領するとされる。
 大乗仏教
 大乗教ともいう。小乗仏教に対する語。大乗とは大きな乗り物のことで、小乗(小さな乗り物)よりも多くの人々を成仏の彼岸へと運びゆく意である。利他(他を利益すること)の菩薩道を説き、一切衆生を成仏させるために説いた教えをいう。
 大統一理論
 物質に働く力には、重力・電磁力・弱い相互作用・強い相互作用の四つがあり、これらを統一的に説明するための理論。すでに電磁力と弱い相互作用は、その見かけが異なるにもかかわらず、同じ機構によって生ずることが示されている(統一理論)。そしてさらに、強い相互作用も、さきの二つの力と同じ仲間であるとみなす仮説が提唱された。これを大統一理論という。
 第六天の魔王
 六欲天(四王天・利天・夜摩天・兜率天・化楽天・他化自在天)の最上に位する他化自在天王のこと。魔の領主。正法に反対し、成仏を妨げ生命力を奪う働きをなす。
 ダーウィンの進化論
 イギリスのダーウィン(1809~1882)の生物進化の仕組みを説明した理論。生物は神によって個々に創造されたものではなく、きわめて簡単な原始生物から進化してきたものであるとする。
 脱益の仏
 脱益とは、過去に下種された仏の種子が調養されて仏の境界になる意で、脱益の仏とは、インド応誕の釈尊をさす。下種益の仏に対する語。
 竜の口の法難
 文永八年(一二七一年)九月十二日、幕府の役人平左衛門尉
 頼綱により、竜の口(鎌倉幕府の刑場があったところ、現在の神奈川県藤沢市)において日蓮大聖人が斬首されようとした法難。
 地球外知性探査
 略してSETI(セチ)と呼ぶ。宇宙のどこかにいる地球人と同程度か、またはそれ以上の知性をもつ生物の存在を確かめようというもの。アメリカなどで積極的に行われており、日本でも学者などが「SETIの会」をつくっている。
 知の変革期
 近代知性の変革期のこと。現代フランスの構造主義に由来する。近代化を推し進めてきた知性は、近代西欧の知であり、この知性の変革がないかぎり、現代文明が直面している困難の打開はないとする主張。
 中性子
 陽子とともに原子核を構成している粒子の一つ。陽子より少し大きい質量を有し、電荷をもたず、物質の透過性が強く核反応を起こしやすい。一九三二年、イギリスのチャドウィックが発見した。
 中性子星
 ほとんどが中性子から構成されている天体。恒星が進化の最後の段階で爆発すると、外部は吹き飛び、中心部は強圧で押し固められ、超高密度の天体ができる。太陽と同じくらいの質量だとすると半径が約一〇キロに固まるので、その密度は一立方センチに富士山と同じくらいの質量がある計算になる。
 長者窮子の譬え
 法華経信解品第四に説かれている。幼少に家出をした窮子は五十年たって長者に出会ったが、それを父とは気づかず二十年間掃除夫として働く。しかし長者は、臨終のときになって真実を明かし、全財産を窮子に託したという。これは、仏(正法)から離れて苦悩に満ちた生活を送っている衆生を、仏は方便をもって導き、ついには仏の境界を会得させるということを意味している。
 超新星
 星の進化の最終段階で、大爆発により非常に光度の高い光のエネルギーを放射するもの。急に輝き出すので新星とされるが、新しい星が生まれるわけではなく、逆に星の最期の状態をいう。おうし座新星、カシオペア座新星など。
 電荷の保存則
 すべての電気現象の根元となる実体を電荷という。その性質は電気量によって規定される。電気ともいい、正電気(陽電気)と負電気(陰電気)がある。閉じた系の電気量の代数和が不変であることを電荷の保存則という。
 伝教
 (767~822)平安初期、日本天台宗の開祖・最澄のこと。著書に『法華秀句』『顕戒論』『守護国界章』など。
 天台
 (538~597)中国天台宗の事実上の開祖。智者大師ともいう。中国の南三北七の十師を破り、五時八教の教判を立てて迹門の法華経を中国に弘めた。主著に『法華玄義』『法華文句』『摩訶止観』などがある。
 天体核物理学
 天体物理学の一分野。天体内部や宇宙の諸現象に関連して生ずる原子核・素粒子の反応を研究し、それによって、天体現象そのものを解明しようとする学問。
 天人五衰
 天上界に住む衆生の果報が衰えたときにうける五つの衰相をいう。諸説があるが涅槃経には①衣服が垢づき汚れ②頭上の花が萎み③身体が臭くけがれ④腋の下に汗をかき⑤本座を楽しまず(どこにいても安心立命できない)とある。
 天上界の喜びが、永続的なものではなく、崩れさる運命にあることを示している。
 電波望遠鏡
 天体から放射される宇宙電波・太陽電波などの電波を測定する装置。微弱な電波を検出するために、巨大なアンテナと高性能の受信増幅器が必要。西ドイツのマックス・プランク研究所にある口径一〇〇メートルのパラボラ・アンテナをもったものが世界最大級として知られる。
 トインビー
 (Arnold Joseph Toynbee 1889~1975)イギリスの歴史学者。人間の自由な意志と行動による歴史・文化の形成を主張し、独自の史観で鋭い文明批評を展開した。主著に『ギリシアの歴史思想』『歴史の研究』『試煉に立つ文明』など。
 当分・跨節
 当分はその分、そのままの意。跨節は節を跨ぐことで、一歩深く広い義のことをいう。教相判釈の一つの基準で、総・別、一往・再往などと同じく、仏法判釈にわきまえなければならない基準。
 道理
 解深密経・瑜伽論等で道理を四種に大別している。
 ①観待道理(諸法は長と短のように、互いに相対する関係で存在する道理)。②作用道理(因果関係のうえに存在する作用についての道理)。③証成道理(現量・比量・聖教量などによって証明され成立した道理)。④法爾道理(宇宙の森羅万象に本来存在する自然の道理)。
 特殊相対性理論
 一九〇五年、アインシュタインが発表した理論。時間と空間とは互いに関係しあって、光速に近い高速物体の長さや質量が変化すること、質量はエネルギーに転換しうることなど、ニュートン力学になかった理論がある。この理論は天体核物理や恒星進化論の発展に寄与した。
 戸田城聖
 (1900~1958)創価学会第二代会長。石川県に生まれ、北海道で少年時代を過ごす。その後上京し、創価学会初代会長牧口常三郎に師事。戦時中、治安維持法違反で牧口会長とともに投獄される。牧口会長は獄死し、戸田は二年間の獄中生活をおくる。戦後、創価学会再建にあたった。著書に『推理式指導算術』『戸田城聖全集』など。
 ドレイク
 (F.Drake 1930~)アメリカの天文学者で最初に地球外知性探査計画を実施した。オズマ計画と呼ばれ、一九六〇年、アメリカのウェストバージニア州にある国立電波天文台の電波望遠鏡を用いた。地球外生物系や文明が、どのくらい分布しているかを示すドレイクの方程式は有名。
 毒気深入
 法華経如来寿量品第十六の文。「毒気深く入って」と読む。衆生の心が、貪瞋癡の三毒などでおかされており、素直に妙法を信受することができないという意。
 貪・癡・慢・疑
 衆生の心身を煩わし悩ませるすべての煩悩の根本となるもの。五鈍使のこと。五利使と合わせて十使という。貪はむさぼり、瞋はいかり、癡はおろか、慢はおごりたかぶり、疑はうたがいをあらわす。
6  な行
 二処三会
 法華経が説かれた二つの場所と三つの法会のこと。二処は霊鷲山と虚空。三会は前霊鷲山会・虚空会・後霊鷲山会。すなわち法華経の序品第一から宝塔品第十一の前半までは霊鷲山で説かれ、宝塔品の後半から嘱累品第二十二までは虚空で、そして薬王品第二十三から普賢菩薩勧発品第二十八までは再び霊鷲山で説かれたのである。
 日寛上人
 (1665~1726)第二十六世の法主。主な著書に御書五大部の文段と『六巻抄』などがある。
 日亨上人
 (1867~1957)第五十九世の法主。編著書に『富士宗学要集』『身延離山史』『新編日蓮大聖人御書全集』などがある。
 ニュートリノ
 中性微子といい、中性子がベータ崩壊で陽子と電子に壊れるときに放出される中性の素粒子。電荷・質量ともゼロと考えてよい。現在まで、三種類のニュートリノの存在が確認されている。
 ニュートン
 (Isaac Newton 1643~1727)イギリスの数学者・物理学者。万有引力・微分積分学・光学の三大発見をなした。力学原理・引力の法則・太陽系の星の運動などを明らかにした主著『プリンキピア』は著名。近代科学理論の発展に寄与。
 仁王経
 全二巻。鳩摩羅什の訳。仁王護国般若波羅蜜経にんのうご こくはんにやは らみつきようの略称。正法が滅して思想が乱れたときに起こる難を示し、これをのがれるためには般若(菩薩の智慧)を受持することであるとして、菩薩の行法を説いている。
 涅槃経
 釈尊が跋提河のほとり沙羅双樹の下で、涅槃にさきだつ一日一夜に説いた経。内容は涅槃経のなかに「秋収冬蔵して、さらに所作なきがごとし」と、自ら位置を判じているように、法華経の真実なることを重ねて述べた経典で、滅後の護持を説いた法華経の流通分である。
7  は行
 ハイゼンベルク
 (Werner Karl Heisenberg 1901~1976)ドイツの理論物理学者。マトリックス力学や不確定性原理を提唱した。量子力学の建設に貢献し、ノーベル賞も受賞している。主著に『量子論の物理的基礎』など。
 パグウォッシュ会議
 一九五七年にカナダのパグウォッシュで開催された科学者による国際会議。五五年にラッセル、アインシュタイン、湯川秀樹ら十一名は、核戦争の危機に科学者が社会的責任を果たすように呼びかけた。その時の「ラッセル・アインシュタイン宣言」にもとづき開かれたもの。
 白色矮星 
 白色光を放つ半径の小さな恒星。白色は高温を意味するが、光量は少なく非常に暗い。マッチ箱ていどに一〇トンの質量をもつ高密度星である。シリウスの伴星が代表例。
 八万法蔵
 釈尊が説いたすべての教えをいう。八万は実数ではなく、多数の意。八万四千の法門ともいい、八万蔵と略すこともある。また法蔵は、宝蔵とも書く。
 八寒地獄
 八種の極寒の地獄のこと。涅槃経には阿波波地獄・阿地獄・阿羅羅地獄・阿婆婆地獄・優鉢羅地獄・波頭摩地獄・拘物頭地獄・分陀利地獄の八つが説かれている。
 白金黒
 塩化白金酸塩を還元して得た黒色の白金微粉。多量の気体を吸着し、酸化・還元の強力な触媒として使用される。
 八相作仏
 八相成道ともいう。仏が衆生救済のため世に出る場合、その一生に八種の特殊な相のあることをいう。八相とは、下天(天から下る)・託胎(母胎に宿る)・出胎(誕生)・出家・降魔(成仏の障害となる魔を降す)・成道・転法輪(説法)・入涅槃(入滅)をいう。
 ハッブル
 (Edwin Powell Hubble 1889~1953)アメリカの天文学者。銀河系外星雲の研究に大きな業績。星雲の後退速度と距離に関する法則を発見し、膨張宇宙を示唆したことで知られる。
 パルサー
 一秒程度以下という、きわめて短い周期で回転する中性子星で、その周期で赤道面の方向に強い電波やX線を放つ。一九六七年にイギリスのヒューウィッシュ、ベル嬢により発見された天体。
 ハレー彗星
 一六八二年、イギリスの天文学者ハレーにより初めて軌道の計算が明らかにされた大彗星。今世紀では一九一〇年に出現。周期は七六・〇二年で、最近の近日点通過は、一九八六年二月。
 半導体
 金属のように電流が流れやすいものと、硫黄のようにほとんど電流が流れないものとの中間に位置する物質。「半ば電気を導く」という意味で、ゲルマニウム、シリコンなどの元素が含まれる。ICなど電子的要素として多く用いられ、エレクトロニクス工業に重要な役割を果たしている。
 万有引力の法則
 ニュートンによって発見された物体間に働く引力の法則。二つの物体間に作用する引力は、その質量の積に比例し、距離の平方に逆比例するという理論。ニュートンは、この法則で天体の運行を説明した。
8  光ファイバー
 グラス・ファイバー(ガラス繊維)の一種で、光を用いて信号・映像などの情報を送るために設計されたもの。髪の毛のように細く、ファイバーが曲がっても光がその中を進む特性をもつ。電気通信より数万倍の情報が送れるうえ、安価で軽量という特徴がある。
 ビッグバン
 宇宙創世期の初めに起こったとされる大爆発のこと。宇宙は過去のある時点に、きわめて小さく、超高温・超高密度の状態から爆発的に開闢し、膨張速度を減じながら現在にいたっているという説。
 譬如良医の譬え
 法華経如来寿量品第十六にある。良医病子の譬えともいう。良医は留守中に毒薬を飲んでしまった子供たちに、良薬を飲ませ助けようとしたが、本心を失っていた子供たちは、それを飲まなかった。そこで良医は他国へ行き、父(良医)の死を告げる使いを送った。すると子供たちは、その悲しみで正気を取り戻し、良薬を飲んで苦しみからのがれることができた。それを聞いた良医は、すぐに帰り、子供たちと喜びの再会をしたという。
 百界千如
 天台が生命の本質を解明した哲理である一念三千法門の要。百界とは十界互具のことをいい、百界にそれぞれ十如是が具して千如となる。しかし百界千如だけでは、まだ三世間(五陰世間・衆生世間・国土世間)が説かれていないので、有情界のみに限定され、真の一念三千にならない。
 不確定性原理
 量子力学においては、位置と運動量が同時に確定した値を持つことはできないという主張。ドイツの理論物理学者ハイゼンベルクが提唱した。
 不可思議境
 天台の『摩訶止観』にある。不可思議とは思議できないこと、考えられないことをいう。境は境界の略で客観世界のこと。すなわち、衆生の一念に三千の諸法が具しているとは、考えもおよばないことをいう。
 普賢経
 一巻。中国・劉宋代の曇無蜜多の訳。法華経の結経で観普賢菩薩行法経の略称。普賢菩薩を観ずる方法とその功徳を説き、経の受持・読誦そして流布を勧めている。
 仏国記
 五世紀初め、東晋の僧法顕が記した西域、インド旅行見聞記。一巻。インド古代の地理・歴史の研究資料となっている。
 ブラック・ホール
 質量が大きく密度が極めて高く、重力も大きいため空間がひどくひずみ、光すら脱出できず、なにもかもとりこんでしまう天体。質量の重い星が、その終末に達した時、その重力により崩壊するとされる。
 浮力の原理
 アルキメデスが発見した「浮力は物体のかわりにおきかえた流体に働く重力と等しい大きさをもつ」という原理。
 分子生物学
 分子の構造と機能にもとづいて生物現象を解明しようとする生物学の一分野。分子遺伝学と分子生理学を含む。分化・発生など広く細胞機能の基礎的な様相を探究する学問。
 変光星
 明るさが変化する恒星。一五九六年、ドイツのファブリツィウスが初めて発見した。食変光星(連星が互いに、かくしあうもの)と物理的変光星(恒星が膨張収縮するもの)とがある。変光の周期は数時間から数年までとさまざま。周期の決まらない不規則変光星もある。
 ボーア
 (Niels Henrik David Bohr 1885~1962)デンマークの物理学者。ノーベル賞受賞。量子条件、振動数条件などから原子の構造を明らかにし、量子論の発展に貢献。また彼の提唱した相補性原理は、物理学にとどまらず哲学の認識論にまで大きな影響を与えた。
 法器
 一切衆生の生命が尊極の仏性を内に蔵した妙法の当体であることをいう。
 方便現涅槃
 法華経如来寿量品第十六の文。「方便して涅槃を現ず」と読む。死(涅槃)とは生命が滅することではなく、次の新しい生のための方便であるという意味。
 方便品
 法華経方便品第二のこと。法華経四要品の一つで、法華経のなかでも重要な位置にある。
 蓬莱山
 不老不死の薬があるとされる中国の伝説上の山。
 法華経
 釈尊が説いた八万法蔵の諸経のうち第一の経典。通常、中国の鳩摩羅什が訳した『妙法蓮華経』八巻二十八品のことをさす。
 法華玄義
 天台大師の『妙法蓮華経玄義』(十巻)のこと。『法華文句』『摩訶止観』と合わせて天台の三大部という。法華経の題号である妙法蓮華経の玄義を明かした書で、妙法蓮華経の文々句々について解釈した法華文句とともに、天台教学の教相を示している。
 発迹顕本 
 垂迹(仮の姿)を開いて本地(真実の姿)を顕すこと。釈尊においては、始成正覚を開いて久遠実成を顕すことをいい、日蓮大聖人の発迹顕本は、日蓮大聖人が竜の口の法難を機に久遠元初自受用報身如来の本地を顕されたことをさす。
 法性の智火
 妙法の智慧を火の作用にたとえたもの。法性は諸法の実体、悟りをいう。「御義口伝」には火には照と焼の二つの意味があり、妙法が生死の闇を照らし、煩悩の薪を焼く効用をもつことが示されている。
 法身・般若・解脱の三徳
 法身とは、仏の清浄な生命それ自体であり、般若とは、仏の智慧である。解脱とは、仏のふるまい、幸福な姿のことで、法身・般若の二徳が一緒になり、生死の苦しみから脱却した状態をいう。
 法報応の三身
 仏の三種の身で、法身・報身・応身のこと。仏の実体というものを、客観的に対境としてとらえ、また法性の理として把握したものを法身という。報身は菩薩の修行という因によって報いられた仏智を意味する。つまり、生命の実体を主観視して種々の特質、機能をもつものとしてとらえたものがこれにあたる。また応身とは、この世に実在のものとして応現し、種々の働き、作用を起こす姿をいう。
 本地難思
 本地とは仏の本因の境地・立場・境界の意。つまり仏の本地は、ただ仏のみがよく知るものであり、凡夫(ふつうの衆生)には、とうていわからない境界であるということを示している。
 梵天
 大梵天王のこと。三天(大梵天・梵輔天・梵衆天)の一つ。娑婆世界の主とされ、帝釈天王とともに正法を弘める者を守る働きをする諸天善神である。
 煩悩
 人間の心身を煩わし悩ませる種々の精神作用のこと。惑・随眠とも訳す。二種に大別できる。①根本煩悩。すべての煩悩の根本になるもので、貪・瞋・癡・慢・疑の五鈍使と有身見・辺執見・邪見・見取見・戒禁取見の五種の悪見など。②随煩悩。根本煩悩に付随するもので、放逸・懈怠・不信などの二十種をいう。
 煩悩即菩提
 煩悩がそのまま菩提(悟り)と一体不二であること。煩悩とは心を煩わし身を悩ますことをいい、人生・生活における悩み苦しみ等をいう。菩提とは仏法の悟りの境地をいい、喜び楽しむ状態をさす。つまり悟りを妨げる煩悩を断尽することなく、そのまま菩提と開いていくこと。
9  ま行
 マゼラン星雲
 南天のかじき座ときょしちょう座に、それぞれ位置する大マゼラン雲と小マゼラン雲の総称。マゼランが世界周航のとき発見した銀河系外星雲。肉眼ではかすんだ雲のように見える。星雲中の変光星から距離が求められたものとしては、天文学史上最初のもの。
 末法
 三時(正法時・像法時・末法時)の一つ。釈尊滅後二千年以降のことで、闘諍堅固・白法隠没とされ争いが絶えず、釈尊の仏法が効力をなくす時代をいう。
 未来星宿劫千仏名経
 日光仏から須弥相仏までの千仏が出現することが説かれている経典。
 無記・無作
 無記とは「善悪無記」のことで、善でも悪でもないもののことをいう。無作とは有作に対する語で、因縁によってつくられたものではなく、本来の姿のままであること。
 無間大城
 無間地獄のこと。七重の鉄城・七層の鉄網で囲まれて脱出できないゆえに無間大城という。『大毘婆沙論』などにある。
 無著
 四世紀ごろのインドの大乗唯識論師。世親の兄で、小乗に執着していた世親を教化して大乗に帰化させた。著書に『摂大乗論』『金剛般若論』など。
 無上宝聚不求自得
 「無上の宝聚 求めざるに自ら得たり」と読む。法華経信解品第四の文。宝聚は宝珠とも書く。宝聚は宝の聚りのことで、無上宝聚とは一念三千の法理、末法では三大秘法の御本尊のことをさす。不求自得とは、求めざるにほしいままにえたりということで、無上の宝聚が無始以来、われわれの生命のなかにあり、生命それ自体がすでに、一念三千の当体であるとの意。
 無明即法性
 無明(迷い)と法性(悟り)は、別々のものではなく、一体不二であるということ。無明・法性ともに衆生の一念にそなわっていて、悪法に縁すれば無明となり、善法に縁すれば法性となる。
 無量義経
 法華経の開経。結経の観普賢経とともに法華経の具経とされ、法華部に収録されている。
 文・義・意
 文とは説かれた経文等の文面をいい、義はその教義・道理、意は経文の根本・元意をいう。
 文上・文底
 文上とは経文の上・表面のことで、元意を読みとるのではなく、経文を文字どおり読むこと。文底とは、奥底・根底の意で、経文を表面で読むのではなく、もう一重立ち入って、さらに深く読むことをいう。
 文底秘沈
 「文の底に秘し沈む」と読む。文底とは文上に対する語。三大秘法の南無妙法蓮華経が法華経本門寿量品の奥底に蔵されていることをいう。また、妙法そのものをさすこともある。
10  や行
 有人宇宙実験室
 科学者数人が作業できる広さがあり、各種の実験が行われる宇宙実験室。欧州宇宙機関(ESA)が開発。一九八五年からアメリカのスペースシャトルの貨物室に積み込んで打ち上げられた。
 湯川秀樹
 (1907~1981)理論物理学者。一九四九年、日本初のノーベル物理学賞を受賞。一九三八年に中間子理論を発表。中間子存在の予言が実証されて、湯川粒子と名づけられた。
 陽子
 略号P。水素の原子核。絶対値が電子と等しく正の電荷をもち、質量は電子の一八三六倍で、中性子とともに原子核の構成要素である。
11  ら行
 羅刹
 梵語。羅刹娑・羅叉娑とも書き、女性(羅刹女)は羅刹斯・羅叉私と書く。一切経音義によると、男は醜く女は美しいが、ともに凶悪で人の血肉を食い、飛行し地を走るとされる。また『倶舎論』『大智度論』では、地獄に住む獄卒の一つに数えられている。
 ラッセル
 (Bertrand Arthur William Russell 1872~1970)イギリスの数学者・哲学者。ノーベル文学賞受賞。アインシュタインらと原水爆禁止宣言を発表、絶対平和主義者として活動。主著に『ドイツの社会的デモクラシー』『哲学における科学的方法』など。
 ラムジェット
 ジェットエンジンの一種。飛行速度が音速以上でも、ジェット内部の流れは比較的おそいので、入ってくる空気は減速をうけて圧縮される。飛行速度がそうとう速いと、圧縮機をはぶき、押し込み(ラム)圧縮を受けただけの空気に燃料を吹き込んで燃やしても、推力を出せる。
 霊鷲山 
 古代インドのマカダ国王舎城の東北にあった山の名で、霊山ともいう。釈尊はこの地で法華経などの諸経を説いたといわれる。山頂が鷲に似て、鷲が多くいるためこの名がつけられた。
 量子力学
 原子・素粒子などのミクロの世界を支配する物理法則を中心にした理論体系。量子力学では、ある瞬間に粒子がどの位置にいるかは不定で、いろいろな位置にいる確率がいえるだけである。確率が本質的な役割をもつのが量子力学の特徴である。一九二〇年代にハイゼンベルク等によって完成。
 霊山会
 釈尊が法華経を説いたとされる霊鷲山の会座のこと。二処三会の中、二処の一つであり、三会の第一会と第三会にあたる。また法華経の説法全体を総称していうこともある。
 ルカス教授職
 ヘンリー・ルカスによる寄付によって、一六六三年にケンブリッジ大学に設置された数学・光学等の講座。初代がニュートンの師事したバロー、二代には二十六歳のニュートンが就任した。
 六万恒河沙
 上行・無辺行・浄行・安立行の本化の四大菩薩の本眷属である地涌の菩薩が、無量・無数であることをいう。恒河はインドのガンジス川のことをいい、沙とは砂の意でガンジス川の砂粒のように数の無量をあらわす。
 六根清浄
 六根(眼根・耳根・鼻根・舌根・身根・意根)にまとわりつく煩悩のけがれを払い落とすこと。日蓮大聖人の仏法では、妙法を唱え実践することが六根清浄となる。
 「こうして皆さんに会うと、非常に懐かしい。息子のように思われてくる。私のほうは皆さんが好きだが、皆のほうはなかなか言うことをきかぬことがある。欲張りで、怒りっぽく、頭が悪い。しかし、私は皆さんの真心まごころとなる。
12  注1
 Eddington,A.S.,1922,The Mathematical Theory of Relativity,Cambridge University Press。参照。
 注2
 Sandage,A.,1961,The Hubble Atlas of Galaxies,Carnegie Institute of Washington,Washington,D.C.。参照。
 注3
 ベル研究所のペンジアスとウィルソンが、初期の宇宙が“火の玉”のような状態であったことを宇宙電波の観測から確認した。
 注4
 鹿児島県内之浦に住む山下喜蔵氏の新聞のスクラップからの説明では、「前回(昭和三十九年)のシリーズで悪天候に泣いた(東大宇宙航空研究所の)玉木章夫実験主任と斎藤成文副主任は“なにかのタタリか”という実験班員の声を心配、長坪台地の住民が信心しているという“水神様”にお参りした。ホコラは実験場から約二キロも離れた海岸近くの谷間にある。……おサイ銭をあげて手を合わせたが、案内した住民たちは“大学の偉い先生がこんな神参りするなんて……”“宇宙科学の先端をゆく先生も神さまがたよりなのかなあ”と不審な表情。おぼれるものワラをも──のたとえどおり、科学の力でどうにもならぬ天候ゆえにだが、斎藤教授はいまでも“科学者も人の子、信心が第一だ。どんなに精巧な機械でも絶対の信頼をおけるものではない……”と、信心の効用を力説」とのこと。
 注5
 「大悪人は、一見忠義の人に似ている」「大詐欺師は、一見信義のある人に似ている」との意味で、王安石を弾劾した御史中丞呂誨の「弁姦論」のなかの言葉。
 注6
 ロケットが加速度gで運動しているときロケットの飛んだ距離lとロケット内の経過時間tの間には、距離lが大きいとき、t≒(c/g)loge(2gl/c2)の関係が成立する。ここでcは光の速度である。加速度をg=9.8m/秒二乗とすると=1.03/年となり、オリオン大星雲までの距離=1500年を入れるとt=8年、アンドロメダ大星雲までの距離一九〇万年を入れるとt=15年、となる。その間に地上ではl/cの時間がたっている。
 注7
 宇宙ができて以来(宇宙の年齢を二百億年とすると、六に0が十七個ついた秒数)、一秒に一回ずつ一立方ミリメートルの空間(宇宙の体積を立方ミリメートル単位であらわすと、二九に0を八十八個つけた大きさ)で、タンパク質合成を続けてきたとしても、意味のあるタンパク質は、一つもできない。
 注8
 タンパク質ができる方向で計算したデータによると、十兆光年ぐらい離れた大宇宙群が一兆個あり、そのおのおのが五百億年ほどかけ、ビッグバンを繰り返して、一兆個の大宇宙が、それを一兆の一億倍ほど繰り返したとき、やっと意味のあるタンパク質ができる。
 注9
 アメリカの宇宙科学者、モリソンとコッコーニ両博士がイギリスの『ネイチュア』に発表した、星間通信を論じた世界初の論文より。
 注10
 太陽の温度は約六〇〇〇K、そのスペクトルは黄緑にピークをもっている。恒星のスペクトルとしてはG2型に分類され、中間に位置している。
 注11
 NASAの木星探査機パイオニア、号に「宇宙人への手紙」を搭載した。
 注12
 『書経』に記されている日食があったのは、夏の仲庚五年十月十三日とされている。現在では、この年月から紀元前二一二八年にということになるが、紀元前二一五九年の日食という説もあり、この二説が推定されている。(『宇宙観史』日下実男著、東海大学出版会刊=参照)
 注13
 鉄隕石は地球の核(コア)に、石鉄隕石はコアとマントルの境界物質に、石質隕石はマントルあるいは地殻にそれぞれ相当すると考えられる。
 注14
 日寛上人は、「蓮祖義立の八相」の中で、「夫れ釈尊は、霊鷲山に於て、妙法を演説し、霊山の艮に当る跋提河の辺り沙羅林にして、入滅したまへり。聖人は身延山に於て、妙法を講誦し、延山の艮に当る田波河の辺り池上邑にして、寂に帰す。古今道同じく、応に所以有るべし」と、解釈されている。
 注15
 一八六〇年咸臨丸で幕府の遣米使節に随行してアメリカに赴いたのをはじめとして、三度にわたり欧米を視察し、近代思想の影響を受けた。
 注16
 一九七四年五月十八日聖教新聞社、一九七五年五月十九日フランスのマルロー氏宅で二回の対談を行う。芸術・文化論などをはじめ、多岐のテーマについて論じあう。この対談は、潮出版社刊『人間革命と人間の条件』に収録。

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