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日蓮大聖人・池田大作

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第三章 宇宙―その不可思議な…  

「宇宙と仏法を語る」(池田大作全集第10巻)

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17  宇宙の運行にみる「妙」の法則
 木口 たしかに、おっしゃるとおりです。たとえば、それは、私が研究している天体核物理学という学問の分野でもいえます。
 いちばんわかりやすい例では、地球と太陽の距離です。
 もし地球が太陽に、あと三千万キロ近くても遠くても、私たち人間を含めて、いまの生物は存在していません。生命を維持するため、最も重要な水が凍りもせず、蒸発もしない距離は、これ以外にないのです。
 池田 太陽と地球の距離が、一億五千万キロ。
 この近からず遠からずが、生命を生み、育む最適条件になっています。まことに「妙」であり「法」である。
 「妙」とは「真実である」とある。ちょっとむずかしくなりますが、劣悪という意味の「麁」を断絶することとも説かれています。人智の範疇では計算できないという意味です。
 この位置が変わると、太陽の光も熱も、生物にとっては、恩恵ではなくなってしまう。
 ―― 近づけば「焦熱地獄」、離れると「八寒地獄」。
 木口 地球上の生物は、親である太陽が、定常的に太陽エネルギーを与えてくれることに、すべて依存しています。
 この量が少しでも変わると、氷河期がやってきたり、乾期になってしまいます。
 もし大きな変化が起こったら、地球は大混乱ですけれど……。
 池田 また、一秒の、何千億分の一でも、地球の自転、太陽への公転にとつぜん狂いをおこすようなことがあれば、これまた大地震どころか、破滅でしょうね。
 ゆえに仏法では、東天に向かって宇宙の威光勢力を増長せしむる、という意味をはらんだ「天拝」の儀式があります。
 そこでは「諸天昼夜に、常に法の為の故に、而も之を衛護し」といって、宇宙の運行が、正確に威光を発揮せしめていくように、という祈りがあります。
 ―― よくわかりました。ところで科学では、あらゆる法則が、きちんとバランスがとれ、なぜ地球にとって最適の状態を保っているかは、わからないわけですね。
 “現状”を計算することはできても……。
 木口 そうです。「われわれの宇宙の性質は不思議である」というコールダー博士の言葉に尽きてしまうことが、あまりにも多いのです。
 池田 いまの重力が少しでも変われば、人間は地球を飛び出してしまうでしょう。そんなことが起こると、太陽と地球の間の距離が変わってしまいますし、地球の空気がぜんぶ蒸発してしまうかもしれない。
 木口 「運動量の保存則」のおかげで、お金がひとりでにポケットから飛び出して月へ向かうこともない。
 ―― 貧乏は保存則を破る。(爆笑)
 池田 それは福運の問題ですけれど。(笑い)
 たとえば、「電荷の保存則」が狂うと、とにかく紙の原子でもバラバラになってしまう。
 木口 日常、目にする物質すべて電気の力で結びついていますので、とつぜん電気が生まれたり、消えたりしたら、たいへんなことになります。
 ―― 一万円札も使わないうちにコナゴナ。(笑い)
 池田 ところで、最初の問題、宇宙と生命、そして仏法における生命の法則についてですが、結論にもっていくには、もう少し話し合ってからになってしまいましたね。
 この次も、もう少しつづけて、本題の結論を出しませんか。
 木口 私もそうしたいと思います。
 ―― これまで宇宙空間の不思議な法則を、それぞれの立場から語っていただいたと思います。
 「不思議大好き」という流行語がありましたが、社会の底流にも、科学的な好奇心の高まりがうかがえます。
 木口 その意味からも、最も不思議な実在であるのが、生命ですね。
 池田 ところで、木口さん、要するに、銀河系に一千万個の地球のような星が推算されたということを、この対談の始まるときに、ちょっと話しておられたが……。
 木口 そのとおりです。明確にアメリカのドレイクという博士の方程式があります。
 ―― 次はそのへんから論じていただきたいと思います。仏法の立場、科学の進歩という両面から話を進めていただきたいと思います。

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