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日蓮大聖人・池田大作

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芸術と宗教  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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11  池田 私も、あなたとまったく同感です。人間は、なんらかの目的をもち、そこに打ち込んでいく喜びを知るならば、目先の欲望の充足といった小さな喜びにとらわれることはなくなります。私は、人間の本性の中には、こうした、より高い喜びを求める心があると信じています。また、仏教においても、すでに十界について申し上げたように、物質的欲望の充足に喜びを感ずる生命もあるとともに、高い真理の悟りによって得られる喜びや、人びとの幸せのために尽くすことによって得られる喜びを求める生命があることを教えています。
 これは本性としてすべての人に平等にあるのですから、それを自覚できる可能性もまたすべての人にあります。問題は、それをどのようにして実際に自覚させるか、です。そこにこそ、人間教育の肝心があります。教育とは、まさにそうした人間の内にある高度な精神をめざめさせることにその真の意味、存在理由があるといっても過言ではないでしょう。
 あなたが強調されるように、芸術も、人間に、そうした物質的な欲望を超克させてくれる、高い喜びの一つです。しかし、芸術ばかりでなく、真理を求める哲学的思索もそうですし、人びとのために尽くす利他の実践もそうです。教師が、ほんとうに自らこれらの喜びをわが身に実感し、それを生徒や若者たちに情熱をもって伝えていくならば、かならずや、多くの若者たちがめざめていくことは間違いありません。

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