Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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日本と西洋  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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19  私は、ここに西洋の芸術がめざしたものとの違いがあるのではないかと考えます。西洋の芸術では、作品は、作者の生命の再現です。対象物を忠実に描きながら、そこに再生された生命は、作者自身の内にある生命、天分です。この最も象徴的な事例が、西洋の画家の自画像だと思います。そこでは、自分を観察し客観視しながら、自分という主体をそこに描きます。風景や事物を描く場合も、これと同じです。写実主義は、対象物を客観視しながら、それをとらえた自らの主体を描いているのではないでしょうか。
 東洋と西洋とのあいだには、このように基本的に異なっている面がありますが、しかし、これをさらに掘り下げて考えてみると、結局は、あなたがいわれるように、その深層部にある同一性に突き当たるのです。つまり、なにかを描く場合、芸術家は、観察や想像によって、それと自己との融合、同一化を行います。実際に作品としてあらわれてきたものが、一方は自己を強く出したものになり、他方は自己を無に帰したものになるにせよ、そこにあるのは、対象と一体になった人間性そのものなのだといえます。
 あなたが紹介されたモネの場合は、この表層における相違を突き抜けて、深層にある東洋と西洋の同一性をとくに顕著に物語る例として私は理解します。

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