Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第二章 東洋と西洋の芸術  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
3  これら二つの芸術の中には、象徴的で物語的な志向性をもつものがあり、それが宗教的なものである場合は、一つの教義に順応して、その教義の内容をイメージによって伝えるためにつくられた聖人像があります。しかし、それだけではありません。さらにそれらは世界に立ち向かう二つの態度をあらわしており、例外はいくらでもありますが、それにもかかわらず、それを明確な表現をもって伝えています。それは、西洋人は、ときには外的世界の事物に精神的生命を染みこませるにせよ、あるいはそれに省略した表現を与えることで満足しているにしても、より以上に外的・物質的世界とその厳密な外見に愛着をいだく。それに対し、東洋人は、自己への精神の集中を通じてしか垣間見ることのできないもう一つ別の世界への接近を求める、ということです。瞼を閉じ、四肢を緩め、微妙な笑みをたたえた仏陀の像は、私にはこの芸術の精華をあらわしているように思われます。
4  しかしまた、絵画的・図形的な文字の扱い方にも、これら二つの精神に特異な兆候を見いだすことができるでしょう。それは西洋では、省略的な記号に集中しているにしても、とくに目に見えるものを表現するのに適しています。これに対し、東洋の場合、これもまた記号ですが、内的生命とその抑揚と等値関係にあります。
 同様の対照は、さらに、表現できる思想を説明することに用いられているときは、文字そのものにも見いだされると私は考えます。

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