Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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権力と芸術  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
16  たとえばフロイトのような人は、現代の文化を、性欲といった部分的な鍵でしつこく関係づけることによって、現代文明を方向づけ、それを開花からそらせることにあれほど貢献したのですが、そのフロイトでさえも、芸術について語るときには、巧みにこの複雑な性格を強調したのでした。彼は、夢のイメージと同じように、芸術にあらわれるイメージも、内面的衝動や魂のかくれた強迫観念の投影として判読することができると述べています。
 しかし、いみじくも彼は、芸術とイメージを区別するものを明確にしています。それは、芸術家は意識によってすぐにイメージをとらえ、意識して仕上げるのであり、なかんずくフロイトが付言するには、芸術家はそれに美術的な価値を付加するために、このイメージを利用するのだということです。
 したがって、芸術家はイメージを物質的な生のままの事実の領域から、質の領域へそれを移行させ、量的事実を質的事実に変質させるのです。

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