Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第四部 人間の再発見  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
1  第四部 人間の再発見
 池田 現代の人間の問題に関して、私たちは、その不幸の根源は、一方では本能的な欲望にふりまわされ、他方では理性の支配に服従していくという、この時代がひきおこした精神の変形にあるとの結論に到達しました。
 そこで問題は、これをどのように直すかということです。あなたは、人間のもっている種々の特質を調和せしめることであり、それが一方で本能を昇華し、他方で、そこに愛を育むであろうといわれました。ではその人間のもっている特質を、どのようにして調和させるのでしょうか。
 この点について、仏教では、思議しがたい生命の究極的本位を覚知すべきことを教え、この覚知が、自己のもっているあらゆる特質の調和のとれた働きをもたらす、と教えています。
2  ユイグ あなたは、私たちの願いとして“人間の変革”と呼んでいるものの意味を、見事に要約していわれました。それは、つまり、なにか新しい奇跡的な解決を期待することではなく、ただ、自身の歪曲をやめて、本来もっている条件をあらわさせ、平衡のとれた状態に戻すことが必要であるということです。
 そのためには、私たちのさまざまな才能や可能性を集中し、共通の、したがって全体的な豊かさへそれを向けることが大事です。
 ということは、なにか一つの方向のみに目標を定めるのではなく、そのようにして獲得したもの自体が不均衡をもたらす要因になるのですから、調和の力を保持し、それを発展させることです。そこに、生命維持の基盤があるとともに、精神の維持の基盤もあります。
3  池田 一つのゲームにおいてもルールが必要であるのと同様に、この地上で生きていくためには、いくつかのルールを人間は守らなければなりません。私は“事象”に関心を向けた科学や技術が、それ自体、非道徳的であるとは思いません。この世界の全体的な働きの中で人間が占める位置を確かなものにするためには、技術をどのように応用するかのルールを発見しさえすれば十分であるはずです。こうしたルールを尊重しつつ行われる健全な発展をしていけば、たぶん人間の生活は飛躍することができるでしょう。

1
1