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日蓮大聖人・池田大作

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芸術と愛  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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9  ユイグ それが、まさに、私たちがこれまで追求してきた考察の結論です。私たちが“現代文明”と呼んでいる文明が突破した大きな発展段階は、人間に外的世界に対する支配をもたらし、人間は、その支配力をたんに自然の資源を外的世界から引き出すためばかりでなく、もっぱら自分たちの望むところに合わせてそれをつくりかえるために利用してきました。そしてしかも、それによって、人間は自然を消費したり汚したりしながら、自然を破壊するために働いているのです。
 それが“環境革命”の結果です。人間はそこに関心のすべてを注ぎ、それと引き換えに内面的生命を無視し、理性的才能を功利的に適用することばかり考えています。いまや、内的実在の要求するものへの回帰が、生命の恒常的な補整作用によって行われるのを、希望をもって期待する必要があります。
 人間は、世界の征服において、大きい一歩をしるしましたが、そのかわりに、いまや、その本来もっている大事なものを失う危険に瀕しています。下劣な物質的貪欲に夢中になって、自己本来の使命、その存在理由を忘れているのです。人間はその本来の支配権を回復し、その開花の意味を再発見すべきです。

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