Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第三部 危機に直面する社会  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

前後
2  ユイグ 現代社会は、あらゆる救済手段を、自身の内にもっています。ですから、それらの効力を失わせるのでなく、回復させ、そこに均衡をもう一度打ち立てるようにすればよいでしょう。
 しかし、現代社会は自分がつくりだした新しい行動手段に酔って、これを過大評価するあまり、基本的な手段については、現代社会はそれを仕上げたというだけなのに取り換えたと思って軽蔑し、壊そうとしてきたのです。
 過激で素朴な近代主義のおごりから、現代の社会は、なにもかも変革し“再考”し、合理性の体系によって新しく構築することができると思い込み、古くからの経験の賜物は放り出しても差し支えないと考えました。こうして生命の条件にかなった忍耐強いこれまでの発展を捨てて、気まぐれで、ただ論理で引き出された原理と仕組みをとっているわけです。
 たしかに、それが、人間を議論の余地のない、進歩の最先端に立たせました。しかし、まさにそこに、不均衡をもたらす突出部をつくりだしたのです。
 ですから、家庭と教育という、社会の生命を支える根っこに戻すことによって、この社会を再び安定化する必要があります。家庭生活と教育こそ、人間の感覚能力、内的生命を開花させるものなのです。
 専断的で不当な政治体系の中に社会を硬化させるのでなく、個人の生命を深く尊重することによって、多様な社会にすべきです。愛と超越的存在への、天賦の本質的能力をめざめさせることによって、要するに一言でいえば、人間をその真実の運命へ戻さなければなりません。

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