Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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心理学的変化  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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8  ところが、現代の文明は、この微妙なバランスを脅かしています。現代文明は絶えず人間を世界から切り離し遠ざけるように推進しており、世界は人間にとって、景色であり餌食であり、敵対者という外的対象でしかなくなっています。現代の文明は、世界に他の物とともどもに属するよう呼びかける“内なる声”を窒息させます。その声とは、非合理でありながら秘密を明かしていく直観がそこから立ちあらわれてくる無意識の叫びであり、その究極するところは、神の顔をもっている“存在”に、止揚によって結びつこうとする、精神性への渇望です。
 現代文明はこの声を感覚という舷窓の後方に勤務につけさせます。現代文明は計器盤に向かうように、人間をその知性のメカニズムの中に孤立させます。消費と略奪に結びついた貪欲以外のあらゆる衝動を除去しながら、現代文明は人間を抽象的原理と精神的公式の論理的増殖の中に閉じこめます。そうした抽象的原理や精神的公式を、現代文明はマス・メディアを使って、人間の頭の中に刷り込むのです。現代から始まっている文明とは、このようなものです。

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