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日蓮大聖人・池田大作

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男女間の倫理  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

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13  もちろん、仏教をこのような死後のためだけのものとするのは、偏見の所産です。仏教は、生死を超えた生命の本質を探求したものであり、生命の本質からの人格的向上の道を示したものです。倫理的次元での人間としての生き方や行動は、この本質の変革から必然的にもたらされるものであって、仏教の本領をそうした枝葉末節に置かないというだけであり、決して放縦を許すわけではないのです。
 男女間の倫理といった道徳の問題は、風俗・習慣総体と絡んでおり、民族性や文化的伝統によってさまざまに異なります。別の民族から見れば非道徳的と思われることでも、その民族にとっては道徳的であることもあります。それについて一つの型にはまった倫理観を押し付け、しかも、それを宗教の本質に関わる信条とすることは、旧来の文化的伝統を破壊する結果になるか、そうでなければ押し付け的な倫理への反発がそのままその宗教への拒否となって、宗教が人々にもたらすはずの本来的な救済力を、この問題のために失ってしまうことになるでしょう。
 仏教は、仏教の本質的な信仰をより広く人々に伝えるために、こうした倫理は、仏教にとっては枝葉末節であるとの立場を貫いてきたといってよいと思います。

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