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日蓮大聖人・池田大作

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宗教セクトと共同体意識  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

前後
11  (注1)血縁共同体
 親子や兄弟姉妹の血縁関係を基本として成立した社会形式。さらに養子関係や、共通の先祖をもつと信じている精神的つながりをも含めた、血縁意識に基づいた共同体。
 (注2)地縁共同体
 地縁とは一定地域の居住にもとづいた縁故関係のことで、その地縁関係によってつくられた生活共同体。村落、村、郷、部族へと発展し、さらに部族が政治的に結合して国家が形成される。
 (注3)役割遂行者
 役割とは、特定の、社会的に定められた地位を占める人々が要求される社会的行動の形態をいう。現代社会では、人間のこの行動が、その役割を担う人の感情とか個人的気質とは無関係になされるようになっている。社会はさまざまな役割の体系を通じて機能しており、各個人は、そうしたさまざまな役割を演じることを身につける。こうして、一個人がいくつかのはっきりした役割(たとえば、父親、産業労働者、一般信徒のリーダー、パーティーの主人役等々)を遂行するのである。これを、役割遂行者と称する。
 (注4)デノミネーション(教派)
 キリスト教には、三つのはっきりとした組織形態がある。「チャーチ」(教会)型――その特徴をなすのは、第一に、指導体制の分化(たとえば、大司教、司教、司祭、助祭等)であり、これはピラミッド型の権力機構に類似しており、宗教上の分業を示している。その他の特徴としては、所定の領域内のあらゆる人々を包摂しようとする要求があること、信徒となることが出生と同時に定められていること(したがって、そこには自主性がないこと)、世俗の権威(国王もしくは国家)と同一化していること、優勢な文化や道徳のパターンを支持すること等である。「セクト」型――特徴として、教会に対して(もしくは国家に対しても)一定の異議を唱え、教会から自ら離脱して生まれた教団であること、成員間の信仰上の平等が強調されていること、会員となるには自発的でなければならず、またその資格があるかないかを問われること、専ら自分たちだけが真理を有すると主張すること、世俗の権威に反対して独自の文化形態と(一般により厳格な)道徳体系を発展させること、等が挙げられる。「デノミネーション」(教派)型――多くの場合、セクトが発展した形態をいう。形式上は平等を謳うが、実際には、聖職者の叙階にともなって官僚制的な権威構造を発達させている。会員となるためには、理念上は自発的な意志に基づくことになっているが、それはしばしばまったく形式的で資格は問われない。デノミネーションは、もはや真理を独占していることを主張せず、他の類似の自由主義的な宗教団体の地位と同等であることに甘んじる。世俗の権威、支配的な文化や道徳律に対しては、表面的には反対を唱え続ける立場にある。

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