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日蓮大聖人・池田大作

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普遍的生命と個別性  

「社会と宗教」ブライアン・ウィルソン(池田大作全集第6巻)

前後
8  今日、多くの人々が、非道徳的な行為を犯しても、(そのことで罰せられないかぎりは)たいしたことではないというふうに感じており、したがって快楽主義的な風潮が、着実に広まっています。テクノロジーを基盤とする現代の社会体制の運営にとって、消費はまことに重要な要素ですから、人々はみな“良いもの”をできるだけ多く消費するよう奨励されています。
 今日の社会はみな、広告産業という手の込んだ産業を維持していますが、この産業の唯一の狙いは消費を奨励することです。おそらく広告こそは、今日、徹底した快楽主義という社会的価値の、最も強力な伝播者なのであり、広告はそれを巧妙かつ露骨に、系統的かつ性急に、朝な夕な、生まれてから死ぬまで人々に押しつけています。
 そして、同じそれらの諸価値が娯楽産業を養う主食ともいうべきものになっているのですが、皮肉なことに、そうした諸価値が、こうした娯楽産業によって、商業的な思惑を抜きにして、まさに現代生活における“価値そのもの”とされているのです。数年前に流行したポップ・ソングには、このことが、端的にうまく表現されていました。「人生楽しく生きようよ。思っているほど時間はない」――。そこに表れているのは、人生はまさしく墓場で終わりだという思想なのです。
9  (注1)輪廻転生
 迷いの衆生が苦悩の世界を生死生死と流転すること。輪廻転生は同じ意味。
 (注2)業力
 業は身口意の所作。身口意の所作が因となって果報を引き起こす。この働きに善悪がある。
 (注3)涅槃(ニルヴァーナ)
 滅度・寂滅・不生・安楽・解脱等と訳す。一切の煩悩や苦しみを永遠に断じ尽くした境地をいう。
 (注4)阿弥陀仏
 西方極楽世界の教主の名。普通、浄土三部経に説かれる仏。日本では平安中期に源信の『往生要集』が出てから阿弥陀仏信仰が盛んになった。その後、平安末期に法然が出て浄土宗として日本全国に広まった。

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