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日蓮大聖人・池田大作

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日米関係と日本の進路  

「人間革命と人間の条件」アンドレ・マルロー(池田大作全集第4巻)

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2  マルロー それについては、アメリカ自体の変化も必要でしょう。私がみるところでは、アメリカの政策はつぎのように要約されます。つまり、日本にたいするアメリカ側の意向を保持しつつ、その意向をどうやって遂行させるか、と。私の考えでは、もはや日米関係は一方的な望みを押しつけることは不可能だと思います。遅かれ早かれ、現在のままの関係を維持することはできなくなるでしょうが、また逆に、容易にそれを壊すこともできないにちがいありません。
 池田 よくわかります。さきほどの日本列島を文化の宝庫にしようという私の構想について、もう少し申しあげたいと思います。
 「戦争」と「文化」は対極に位置するものです。軍事、武力が、外的な抑圧によって人間を脅かし、支配しようとするのにたいし、文化は内面から人間自身の可能性を開花させ、解放させるものです。
 また武力は軍事的強大国が力の論理を貫こうとするのにたいし、文化交流というものは、摂取という受け入れがわの主体的な姿勢が前提となります。いうなれば武力の破壊にたいし、文化の基底にあるものは創造でしょう。
 現代の戦争、なかんずく核戦争は文化をことごとく破壊するにいたります。戦争は明らかに人間生命の狭量さの噴出であり、文化とは人間生命の豊かさの表現ともいえる。両者は人間生命の本質からみて、絶対にあいいれないものです。選択は一つしかありません。
 私は文化により権力を包囲していく必要性を痛感しています。つまり政治によって陥りがちな「不信」と「反目」を、文化本来の光で「信頼」と「理解」に転換していかねばならないと考えます。第二次世界大戦以降の日本人のメンタリティーには、そうした自覚が強く芽生えていることは、すでにご承知のことと思います。日本の進路も、ここから明白になるでしょう。
 マルロー おそらく国際問題は、まず、国内問題といったところでしょう。つまり、日本の政治的指導者のタイプに大きくかかわってきます。
 池田 それは、イデオロギーをふりかざしての対立抗争から、指導者の人間的資質の競いあいという時代にはいったともいえますね。

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