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日蓮大聖人・池田大作

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最初の行動者が回答を  

「人間革命と人間の条件」アンドレ・マルロー(池田大作全集第4巻)

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1  最初の行動者が回答を
 池田 ところで、二十一世紀において、はたして共産主義ないし社会主義が理想的なのか、資本主義、いわゆる自由主義がいいのか、あるいは民族主義になるべきか、種々の議論が錯綜しています。あなたはこの点について、どうお考えになりますか?
 マルロー この種の歴史的、政治的問題は、十三、四世紀には存在しなかったところの問題です。十九世紀末からの問題といえます。
 これにひきかえ、いま、二十一世紀とおっしゃいましたけれども、つぎの世紀の根本問題はテクノロジーの問題となるでしょう。汚染のたぐいの問題がますます重要になってくる。もはや人間相互間の敵ではなく、人類の敵、というわけです。当然それにふさわしい思想が必要でありましょう。つまり、工業技術的というか、テクノロジカルなイデオロギーといったものが……。
 池田 そうすると、そのテクノロジカルな思想というものが芽生えていく思想的土壌としては、民族主義、共産主義ないし社会主義、自由主義または資本主義といった分類から考えた場合には、資本主義的な社会に近いのか、あるいは共産主義的な社会に力点をおいて考えているのでしょうか?
 マルロー 論理的にいえば、災害にたいする闘争、汚染にたいする闘争、テクノロジカルな敵にたいする闘争を、いちばん有効にやってのけられるのは、共産主義ということになるかもしれません。共産主義者たちはそのための最大の方法をもっているのであって、論理そのものでは、この問題にたいしてなんの効力も発揮しようがないのですから。
 いかなる現実の共産国も、池田会長がすでに行われたようなことができるわけではありません。このご質問にたいする、いちばん重要な答えは、したがって、いちばん最初に行動を起こす人間がその回答を出すということです。
 池田 それはありがとうございます。ところで、私の考えからすれば、科学文明主義といっても、たしかにその領域のなかの敵というものが変わりつつあり、そこからして、人間の生存自体が脅かされるにいたっていると思うのです。どうしても生命のなかにひそむエゴを克服しなければなりません。したがって私は、人間主義、生命主義の哲学と実践とが変革の最重要なカギであると思うのです。そして、あなたの予見されるテクノロジー時代という二十一世紀にあっては、あくまでも、その人間、社会の底流に貫くものは「生命の世紀」でなければならないと、もうこのことを十数年前から叫びつづけ、またその実践をしてきております。
 マルロー 同感です……。
 池田 つぎに、未来の人類について考える場合、教育問題がもっとも大事だと思います。創価学会は前会長も教育者、初代の会長も教育者です。私もすでに、大学・高校・中学を創立し、実践しております。そこで、未来の人間を育成していくために、これからの教育はいったいどうあるべきかということをおうかがいしたい。

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