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日蓮大聖人・池田大作

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新たな民衆像を求めて 北京大学記念講演

1980.4.22 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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6  また、このへんの事情は、皆さま方のご賢察にまつ以外にないのですが、例えば″実事求是″――事実に基づいて真理を追究するという言葉には、私が先に申し上げた「個別を通して普遍を見る」ということと共通する響きはないでしょうか。少なくとも私は″実事求是″とは、司馬遷の「是なのか、非なのか」との問いのパターンに象徴される、中国の精神的遺産の最も良質な部分、すなわち、現実そのものを直視し、そこから現実を再構成していく精神の在り方と、深く脈絡を通じているように思えてならないのであります。
 ともあれ時代は″大動乱″の時であります。故周恩来首相は、二十一世紀へ至る二十世紀の最後の四半世紀は最も重大な時期である、と述べておられました。それだけに民衆同士の、国境を超えた世界的な連帯がなされなければ、いつまた戦争の惨禍にさらされてしまうかわかりません。中国の科学史研究に巨大な足跡を残したジョセフ・ニーダムは、大著『中国の科学と文明』の序文で「今われわれはすべての人種の働く人びとを普遍的で協同的な共同体に結び付ける、ひとつの新しい普遍主義の夜明けにいる」と述べました。
 その「新しい普遍主義」の主役こそ、新たな民衆、庶民群像でなければならないでありましょう。そして、中国の長大なる歴史と現実の歩みは、そうした未来を開拓しゆく、計り知れぬほどのエネルギーを秘めているであろうことを申し上げ、私の話とさせていただきます。
 (昭和55年4月22日 北京大学)

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