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日蓮大聖人・池田大作

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第12回「SGIの日」記念提言 「民衆の世紀」へ平和の光彩

1987.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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41  昨年末、私は″構造的暴力″の唱導者であり、平和研究の世界的権威であるJ・ガルトゥング博士と再会いたしました。そして、平和構築への条件をめぐって、幅広い論議を交わし、多くの点で意見の一致をみました。博士は、恒久平和の建設へ、仏教とりわけ私どもの進めている運動に、大きな期待を寄せておられました。博士の最近の論文には、次のような一節がみられます。
 「仏教には積極的な平和政治のためのひとつの源泉としての大きな可能性、しかもかなり活用されていない可能性があるということ、また直接的暴力と構造的暴力に満ちたこの世界の堕落した影響を受けないようにするために、復活しなければならない、生かし続けねばならない何かがあるということである。(中略)世界では、より平和を志向する構造をうちたてようとの努力はなされている。しかしそれらは、ときとしてエトス――核になる規範を欠いている。仏教こそまさにそのエトスであり、それはおそらく具体的な構造を求めているのである」と。
 たしかに仏教とりわけ私どもの信奉する、大乗仏教の真髄である日蓮大聖人の仏法は、いまだ歴史的に検証されていない、未知の可能性をはらんでおります。歴史の手垢に汚されていないだけに、それが、恒久平和のためにどう貢献していけるかは、いつに私どもの取り組み方いかんにかかっているのであります。
 ″精神″の力の復興は、単にアメリカのみの課題ではありません。世界のいたるところに存在する″構造的暴力″を駆逐していくためには、究極的には、″タテ″に、内なる生命の深みより発する″精神″の力を掘り起こし、″ヨコ″には、世界市民の心のスクラムを幾重にも、幾次元にも広げ、強めていく以外にないのであります。SGIの皆さんは、そうした先駆の労作業に日々汗しているのだとの誇りも高く、きょうも、恒久平和への旗を振りゆかれんことを念願しつつ、私の所感とさせていただきます。
 (昭和62年1月26日 「聖教新聞」掲載)

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