Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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アジアの平和と発展のために 『創大アジア研究』特別寄稿

1980.3.0 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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21  キリスト教的世界観を絶対主義であるとすれば、ユングが「東洋的叡智」の名のもとに予感していたものの輪郭が、そこから、おぼろげながら浮かび上がってくるのではあるまいか。私はここではその点については言及しないが、いうところの「相対主義」の極致とも考えられる仏教の″縁起論″などは、もっともっと掘り下げられねばならない論題であると思っている。ともかく、思想や宗教は、目に見えないようであっても、地下水脈のごとく流れ続け、文明の原型を形作っていくものだからである。トインビー博士は、従来、世界共同体創設のプロセスを、混乱期→世界帝国→世界宗教→世界共同体と考えていた。だが晩年に至って、乱世時代→世界宗教→世界共同体という順序に変えている。世界帝国を落とした理由は、単なる国際情勢の複雑化ばかりではあるまい。そこには、新たなる宗教的理念勃興への、熱い期待が感じられてならないのである。それはまた、伝統と近代化の融合という課題への、確かな土壌作りともなっていくであろう。
 (昭和55年3月 『創大アジア研究』創刊号)

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