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日蓮大聖人・池田大作

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従地涌出品(第十五章) 我、地涌の菩薩…  

講義「法華経の智慧」(池田大作全集第29-31巻)

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14  池田 たとえば、今世紀の大変動の一つであるソ連邦の崩壊なども、根本は「人間自身」の内面の渇きによるものといえるかもしれない。
 遠藤 そう言えば、イスラエルのシモン・ペレス元首相(ノーベル平和賞受賞者)は、こう述べていました。
 「ソ連は、アメリカの圧力やヨーロッパの内政干渉、中国の脅威を受けて崩壊したのではない。圧力は外部からかけられたのではなく、内部から吹きだしてきた。人間の組織におけるとてつもなく大きな変革が、軍隊の銃も、政党の旗じるしも、大国の脅威もなしに起こったのである」(ネイサン・ガーデルズ編『知の大潮流──二十一世紀へのパラダイム転換』仁保真佐子訳、徳間書店)と。
 須田 ″外からの力″による崩壊ではなく、″内からの叫び″による破綻であったということですね。
 遠藤 ペレス氏は、この当時に見たある鮮烈な映像について語っています。
 ──それはゴルバチョフ大統領へのクーデター未遂事件が起きたときの報道であった。
 モスクワの″ホワイトハウス″であるロシア共和国最高会議の建物の前には、大勢のソ連軍兵士の姿があった。
 「兵士たちは『誰がかまうものか』と言いたげな冷めたようすだった。そのとき突然一人の″おばあさん″が兵士たちのところに来て、『子供たち、こんなところで何をしているんだい。さっさとお帰り!』と怒鳴りつけた。まるで″おばあさん″がソ連軍の唯一の指揮官であるかのようだった」「ソ連が打倒されようとする時、軍はもはや中立を保った。より正確に言えば、傍観していたのである」(前掲、引用・参照)とペレス氏は回想しています。
 斉藤 緊迫した場面なのに、ものすごい勇気のあるおばあさんですね。学会草創から戦い抜いてこられた「多宝会」のおばあちゃんのようです。
 池田 いざという時に強いのは庶民です。庶民のなかで鍛え抜かれた「人間そのもの」が輝くのです。この「人間そのもの」を最高に輝かせるのが、妙法の信仰です。
 日蓮大聖人は叫ばれた。「地涌の菩薩のさきがけ日蓮一人なり」と。この一節が、私には万感の思いで迫ってくるのです。
 「人間革命」の大闘争は、人類が待ちに待っていた生命の夜明けです。歴史の夜明けです。これこそ、生命の根底からの人間の解放です。永遠の次元にわたる人間の解放です。そのために、大聖人が一人立たれた。
 この「地涌の法旗」のもとに、久遠からの不思議なる縁をもって馳せ参じたのが私どもなのです。「我いま仏の旨をうけ」(「同志の歌」)──と。
 それを思えば、どれほどの使命があるか。どれほどの力がわくか。百万馬力のエンジンにギアを合わせたような自分自身となれるのです。

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