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日蓮大聖人・池田大作

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薬草喩品(第五章) 個性を伸ばす「智慧…  

講義「法華経の智慧」(池田大作全集第29-31巻)

前後
12  斉藤 この十年余の先生のスピーチで、多くの御書が拝されてきましたが、一貫して大聖人の人間主義に焦点が当てられています。
 池田 「一切衆生の異の苦を受くるはことごとく是れ日蓮一人の苦なるべし」と断言された大聖人の広大なるご境涯──その「最高の人間性」を、全世界に伝えたいとの思いで御書を拝し、語ってきました。
 薬草喩品の譬えでは、仏の慈悲の大雲は三千大千世界、つまり全宇宙を覆ったと説かれている。どうすれば全世界を御本仏の大慈大悲で潤すことができるか──私の一念は、いつも、そこにあります。この「如来行」こそ創価学会の使命だからです。その戦いは、これから本格化する。いよいよ本門に入るのです。
 行き詰まった現代世界を開き、蘇生させるために必要なのは「宇宙的視野」であると思う。大宇宙と一体のものとして人間を捉える見方です。大宇宙と一体であれば、自然、地球とも一体であることは言うまでもない。そういう人間観のもとに社会も国家も民族も捉え直していくのです。
 心の窓が閉ざされていては、大きな未来は見えない。窓を開け放つことです。そうすれば、行き詰まりはないのです。
 すべての人間は、全宇宙と一体です。全宇宙のあらゆる営みが、一人の人間の独自性を成り立たせている。言い換えれば、一人一人の人間は、「大宇宙」を独自の仕方で映し出す「小宇宙」です。「個人」は、本来、「全人」なのです。だから、″一人″がかけがえのない存在なのです。
 そういう生命の秘密を知る究極の智慧が、仏の一切種智であり、平等大慧です。どの人も、どの生命も、かけがえのない存在として平等と見るのです。この法華経の人間主義こそ、「次の千年」に必要な「宇宙的ヒューマニズム」であると私は確信します。
 タゴールは歌っています。
 「昼となく夜となくわたしの血管をながれる同じ生命の流れが、世界をつらぬいてながれ、律動的に鼓動をうちながら躍動している。
 その同じ生命が大地の塵のなかをかけめぐり、無数の草の葉のなかに歓びとなって萌え出で、木の葉や花々のざわめく波となってくだける。
 その同じ生命が生と死の海の揺藍(ゆりかご)のなかで、潮の満ち干につれてゆられている。
 この生命の世界に触れるとわたしの手足は輝きわたるかに思われる。そして、いまこの刹那にも、幾世代の生命の鼓動がわたしの血のなかに脈打っているという思いから、わたしの誇りは湧きおこる。」(「ギタンジャリ」森本達雄訳、『タゴール著作集第一巻詩集』1所収、第三文明社)
 我が命に宇宙の根源のリズムを鼓動させながら、にぎやかに、楽しく前進また前進していきたいものです。

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