Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第29巻 「常楽」 常楽

小説「新・人間革命」

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69  常楽(69)
 加古川文化会館の勤行会で、山本伸一は、「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし」との御文を拝して指導。生活、仕事、商売等、人生のすべては、信心によって勝利していけることを述べ、「大確信の信心を!」と力説した。
 また、加古川では、播磨圏の代表幹部との懇談など、語らいに次ぐ語らいを重ねた。
 翌十四日には、兵庫県芦屋市にある関西戸田記念館で近隣の会員と、正午過ぎから懇親会を行った。さらに、姫路文化会館で開催される姫路支部結成十八周年記念勤行会に出席するため、夕刻には姫路へと走った。姫路は十一年ぶりの訪問となる。
 「あの姫路城のごとく、堂々たる信念の仏法者であってください!」
 伸一は大勝利城・兵庫を胸に描いて呼びかけた。同志は歓呼の声で応え、奮い立った。
 さらに、姫路圏の代表幹部との語らいでも、全精魂を注ぎ尽くした。蓄積する疲労を跳ね返して、「臨終只今にあり」との思いでの行動であった。
 十五日には、関西戸田記念館で、神戸、西宮方面の支部長・婦人部長と懇談し、近隣のメンバーと記念撮影をした。
 そして、大阪府豊中市の関西牧口記念館を訪問。地元幹部と勤行・唱題し、東京に戻る直前まで、激励と指導を続けたのである。
 創価の航路には、いまだ暗雲が垂れ込め、さらに激しい嵐の予兆を感じさせた。
 同志は皆、さまざまな苦悩をかかえ、悶え、あがきながらも、今世のわが使命を果たそうと、必死に戦い、生きている。まさに、泥中に咲く蓮華のごとく、健気にして崇高なる、仏の使いの人びとである。
 伸一は、讃え、励まさずにはいられなかった。一人として負けることなく、皆が人生の凱歌を声高らかに響かせてほしかった。その赤裸々な姿のなかに、尊き地涌の菩薩の実像があるからだ。″師子よ、負けるな!″との祈りを込め、彼は師子吼を放ち続けた。
 (この章終わり)

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