Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第28巻 「広宣譜」 広宣譜

小説「新・人間革命」

前後
66  広宣譜(66)
 山本伸一は、浴衣に着替え、新高等部歌の歌詞を書いた紙を持って、岡山文化会館の屋上へ向かった。
 岡山未来会の第一期生と、会うことになっていたのである。
 屋上に出た伸一は、高等部長の奥田義雄と、女子高等部長の大崎美代子に言った。
 「できたよ! 新しい高等部歌の歌詞を作ったよ。今、完成したばかりだ」
 そして、歌詞が書かれた紙を手渡した。
 「ありがとうございます!」
 二人の顔が輝き、満面に笑みが浮かんだ。
 空は、美しい夕焼けに包まれていた。
 未来会のメンバーは、用意してあった縁台や椅子などに、伸一を囲むように座った。
 彼は、一人ひとりを見すえながら語り始めた。厳しい口調であった。
 「皆さんは、未来会として広布後継の誓いを固めて集われた。学会の未来は、皆さんの双肩にかかっています。
 だから、あえて厳しく言っておきます。
 生涯、誓いを破ってはいけない。甘えてはいけない。
 艱難を自ら求め、乗り越えていく『正義の人』になれ──これを守れる人は?」
 皆が手を挙げた。
 「ありがとう。私は、君たちを信じます。
 そして、これから、どのように成長していくのか、見続けていきます。
 次の学会を頼むよ! 君たちは私の宝だ」
 空は刻々と表情を変え、紫紺に染まり、宵の明星が瞬き始めた。
 鳳雛たちの瞳は決意に燃え、頬は紅潮してた。
 懇談終了後、伸一は、「短時間でも、敬愛する男子部の諸君を励ましたい」と、ポロシャツに着替え直し、会館内で行われていた県男子部総会に出席した。
 会場に姿を現した彼を、参加者は、喜びの大拍手で迎えた。
 伸一は、皆の大成長を祈りつつ、「同志の誓いを永遠に忘れることなく、限りなき広布のロマンの大道を」と呼びかけた。
 さらに、そのあと、男子部の大ブロック長(後の地区リーダー)宅を家庭訪問したのである。
 命を削って動いてこそ、人は魂を動かす。

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